TFCC部に発生したsynovial osteochondromatosisの一例
「はじめに」1900年のReichelの報告以来, osteochondromatosisの報告例は数多く見られるが, 手関節に発生した例は稀である. 今回我々は手関節, 橈骨手根関節内に発生し, TFCCに浸潤したsynovial osteochondromatosisの治療を経験したので報告する. 症例 症例は38歳, 女性. 以前に何度か手関節を捻挫したことがあった. 平成4年10月頃から左手関節の痛みを訴え, 特に回内時に痛みが増強した. 同年11月30日, 近医を受診. XPにて尺骨遠位部に石灰化像を認めた(図1-a). その後患者は通院せず放置していた. 平成7年3月には腫脹, 疼...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 852 - 854 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
1996
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 「はじめに」1900年のReichelの報告以来, osteochondromatosisの報告例は数多く見られるが, 手関節に発生した例は稀である. 今回我々は手関節, 橈骨手根関節内に発生し, TFCCに浸潤したsynovial osteochondromatosisの治療を経験したので報告する. 症例 症例は38歳, 女性. 以前に何度か手関節を捻挫したことがあった. 平成4年10月頃から左手関節の痛みを訴え, 特に回内時に痛みが増強した. 同年11月30日, 近医を受診. XPにて尺骨遠位部に石灰化像を認めた(図1-a). その後患者は通院せず放置していた. 平成7年3月には腫脹, 疼痛が増強し, 近医を受診当科を紹介された. XPにて石灰化像が以前より大きくなり(図1-b)可動域制限が回内外, 屈曲, 伸展共に健側の半分に低下していた. MRIではT1で, 橈骨手根関節内TFCC部に滑膜増殖と思われる低吸収域像が認められ, その中に骨髄と同輝度の高吸収域像が認められた(図2-a). またT2では滑膜増殖と思われる高吸収域像の中に骨髄組織と思われる低吸収域像が認められた(図2-b). 別のスライスではTFCCから尺側手根伸筋腱鞘にかけて病変がおよんでいるのがわかる(図2-c). |
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ISSN: | 0037-1033 |