周術期のリハビリテーション中に発生した致死的肺塞栓症
欧米では, 下肢手術の術後合併症の1つである肺塞栓症は積極的に予防的治療が行われている1,2). 本邦では周術期肺塞栓症の発生についての報告は少ないが, 術後肺塞栓の発生率は高く, 時に致死的であるため今後患者に説明し予防をする必要がある3). 今回, 周術期のリハビリテーション中に意識消失, 心肺停止で発症した致死的肺塞栓症を含む2例を報告し考察を加える. 症例 症例1:66歳女性, 1997年10月両下肢しびれが出現し, 徐々に両下肢筋力低下が進行し, 同年2月歩行障害のため当科入院した. 既往歴は, 胆石による胆嚢摘出術と高血圧で, 家族歴に特記すべきことはなかった. 入院時現症は, 身...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 38; no. 1; pp. 42 - 45 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
2001
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Summary: | 欧米では, 下肢手術の術後合併症の1つである肺塞栓症は積極的に予防的治療が行われている1,2). 本邦では周術期肺塞栓症の発生についての報告は少ないが, 術後肺塞栓の発生率は高く, 時に致死的であるため今後患者に説明し予防をする必要がある3). 今回, 周術期のリハビリテーション中に意識消失, 心肺停止で発症した致死的肺塞栓症を含む2例を報告し考察を加える. 症例 症例1:66歳女性, 1997年10月両下肢しびれが出現し, 徐々に両下肢筋力低下が進行し, 同年2月歩行障害のため当科入院した. 既往歴は, 胆石による胆嚢摘出術と高血圧で, 家族歴に特記すべきことはなかった. 入院時現症は, 身長147cm, 体重63kgで, 両体幹の膳部以下に異常知覚と, 徒手筋力テストで2の両下肢筋力低下を認めた. 胸部X線, 血液生化学検査, 心電図は異常なく, 呼吸機能は1秒量2,270cc, 1秒率79.6%だった. 深部静脈血栓症を疑う下肢腫脹を認めなかった. MRIおよび脊髄造影で第9胸椎レベルの硬膜内髄外腫瘍と診断し, 第8~10胸椎椎弓切除後に硬膜切開し腫瘍摘出術を施行した. 手術時間2時間, 出血時間70mlで, 術中, 術直後の経過は良好であった. 病理学的には硬膜内髄外髄膜腫であった. |
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ISSN: | 0034-351X |