関節内骨折に対する生体内吸収性骨接合材の使用経験

「はじめに」骨折の固定材としては金属製骨接合材が用いられることが多く,これは通常,骨癒合後に抜釘術を要す.一方,最近生体内吸収性骨接合材が開発され安定した成績が報告されている.生体内吸収性骨接合材は徐々に生体内に吸収されるため抜釘術は不要である.我々も関節内骨折に対し生体内吸収性骨接合材を用い治療を行ったので,その成績及び適応について報告する.「対象」症例は1995年3月より12月までに生体内吸収性骨接合材を用いて手術治療を行った9例で,内訳は大腿骨々頭骨折2例,膝蓋骨々軟骨々折1例,足関節内骨折6例であった.膝蓋骨々軟骨々折のみPDS pin(OrthoSorb)を,他の8例にはPLLA s...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 2; pp. 436 - 438
Main Authors 生田拓也, 坂口満, 蔵重芳文, 中村英次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」骨折の固定材としては金属製骨接合材が用いられることが多く,これは通常,骨癒合後に抜釘術を要す.一方,最近生体内吸収性骨接合材が開発され安定した成績が報告されている.生体内吸収性骨接合材は徐々に生体内に吸収されるため抜釘術は不要である.我々も関節内骨折に対し生体内吸収性骨接合材を用い治療を行ったので,その成績及び適応について報告する.「対象」症例は1995年3月より12月までに生体内吸収性骨接合材を用いて手術治療を行った9例で,内訳は大腿骨々頭骨折2例,膝蓋骨々軟骨々折1例,足関節内骨折6例であった.膝蓋骨々軟骨々折のみPDS pin(OrthoSorb)を,他の8例にはPLLA screw(FIXSORB)を用いた.大腿骨々頭骨折及び膝蓋骨々軟骨々折には生体内吸収性骨折接合材単独で,また足関節内骨折には他の骨接合材と併用する形で用いた.「結果」経過中に圧痛,腫脹,熱感等の異物反応を示した症例はなく,感染症例もなかった.X線上,術後に得片の転位を認めた症例はなく,全例,順調に骨癒合を得ている.「症例」症例1.18才,男性,右大腿骨々頭骨折,Pipkin分類type I及び骨幹部骨折.交通事故にて受傷.当日,大転子より直達牽引を行い股関節整復.
ISSN:0037-1033