広範囲皮膚欠損を伴う下肢外傷の治療

「はじめに」広範囲皮膚欠損を伴う下肢外傷の特徴としては, 大きな外力が加わっているために筋肉骨組織に対する挫滅の程度が大きく, 血管神経の損傷, ショック状態に対する全身管理, 感染予防, 骨折の固定方法, 関節の拘縮予防に難渋することが多いことが挙げられる. 最近はFree flap等の治療法が提唱され, 当科においても良好な成績を収めている3)5)6). しかし, 人的技術的問題, 施設の問題などから実施できないことも多く, その場合はconventionalな治療法に頼らざるを得ない. 今回我々はnon-microsurgicalに治療を施行したGustilo IIIB 2例, IIIC...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 2; pp. 615 - 622
Main Authors 馬渡太郎, 加茂洋志, 猪原史敏, 前川正幸, 徳久銀一郎, 佐藤実, 野村茂治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」広範囲皮膚欠損を伴う下肢外傷の特徴としては, 大きな外力が加わっているために筋肉骨組織に対する挫滅の程度が大きく, 血管神経の損傷, ショック状態に対する全身管理, 感染予防, 骨折の固定方法, 関節の拘縮予防に難渋することが多いことが挙げられる. 最近はFree flap等の治療法が提唱され, 当科においても良好な成績を収めている3)5)6). しかし, 人的技術的問題, 施設の問題などから実施できないことも多く, その場合はconventionalな治療法に頼らざるを得ない. 今回我々はnon-microsurgicalに治療を施行したGustilo IIIB 2例, IIIC 1例について検討を加え報告する. 症例 症例1:20歳女性 H5.10.5. 車にはねられ受傷. 左大腿骨顆部骨折, 左脛骨平原骨折, 左脛骨骨幹部粉砕骨折, 左足関節脱臼骨折あり出血性ショック状態で救急車にて搬送される(図1-1). 輸血し全身状態の改善後, 全麻下に掻爬洗浄, debridement施行. 可及的に骨折部を内固定することとする(図2-1). 皮膚欠損が著しく創外固定の使用は困難であった.
ISSN:0037-1033