高浸透圧性非ケトン性糖尿病昏睡の2症例

• Published in: Neurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 4; pp. 328 - 332
• Main Authors: 淀縄昌彦, 河野和幸, 田中壮桔
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本脳神経外科学会 1986
• ISSN: 0470-8105

高浸透圧性非ケトン性糖尿病昏睡(hyperosmolar nonketotic coma, 以下HNC)は, 高度な脱水とketoacidosisを伴わない高血糖, 血漿高浸透圧を特徴とする症候群と考えられ, 診断, 治療の遅れた症例では予後不良で, 高い死亡率を有する病態である. 脳神経外科領域では, 中枢神経疾患による患者の意識障害に加えて治療行為そのものがしばしばHNCの誘因となることがあり, 本症候群を合併することがけっして少なくない12, 14, 16). 最近我々は, 意識障害患者に合併したHNCの2治験例を経験したので報告し, 文献的考察を加える. 症例 <症例1> 49才, 男性 主訴：意識障害, 右不全片麻痺 家族歴：特記すべきことなし 既往歴：高血圧を指摘されたことはあるが, 降圧剤は服用していない. 糖尿病の前歴はない. 現病歴：1983年6月17日午後9時30分頃, 飲酒後, 自動二輪を運転中に転倒した.