プラトウ波出現に関する仮説

頭蓋内圧亢進を有する症例では頭蓋内圧はたえず変動しており, およそ3種類の波形を区別できる14). そのうち二つは律動的変動を示すもので, Cheyne-Stokes型呼吸に一致した変動(B波), および全身血圧変動におけるTraube-Hering-Mayer波に一致した変動(C波)で, それらを生ずる機序として上位脳の抑制解除による脳幹の律動的変化が反映されたものと考えられている9)16). もう一つの変動はまったく不規則に出現する持続5~20分, 振幅50~100mmHgの頭蓋内圧変動でプラトウ波とよばれ, 脳腫瘍などの慢性頭蓋内圧亢進を有する症例にしばしば観察される. その頻回の出現は...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 20; no. 4; pp. 355 - 362
Main Authors 林実, 古林秀則, 半田裕二, 能崎純一, 藤井博之, 山本信二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1980
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ISSN0470-8105

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Summary:頭蓋内圧亢進を有する症例では頭蓋内圧はたえず変動しており, およそ3種類の波形を区別できる14). そのうち二つは律動的変動を示すもので, Cheyne-Stokes型呼吸に一致した変動(B波), および全身血圧変動におけるTraube-Hering-Mayer波に一致した変動(C波)で, それらを生ずる機序として上位脳の抑制解除による脳幹の律動的変化が反映されたものと考えられている9)16). もう一つの変動はまったく不規則に出現する持続5~20分, 振幅50~100mmHgの頭蓋内圧変動でプラトウ波とよばれ, 脳腫瘍などの慢性頭蓋内圧亢進を有する症例にしばしば観察される. その頻回の出現は脳幹機能を損傷し, 最終的には終波terminal waveに移行して個体を死に至らしめるなど, その臨床的意義は大きいが出現機序はなお明らかでない10)14). この報告はプラトウ波の2,3の臨床的観察をもとに, その出現機序について一つの仮説を立ててみたものである.
ISSN:0470-8105