Cannulated screwを用いた単発性骨嚢腫の治療経験

「はじめに」単発性骨嚢腫は主に若年者の長管骨に好発する腫瘍類似疾患であり, 日常診療でも比較的遭遇する機会の多い疾患である. この疾患に関する最初の記載は1876年Virchowによるものであり, 以来その発生成因や治療法について様々な研究が行われたが, いまだ不明な点もある. 今回我々は, Cannulated screwを用いて治療した単発性骨嚢腫の2例を経験し, 現在良好な経過を経ているので, ここに報告する. 症例 症例1:11歳女性 主訴:右足痛 現病歴:平成6年4月頃から誘因なく右足痛出現したため初診した. 初診時X線で右踵骨に嚢胞性陰影を認めた. 平成6年7月26日から11月15...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 886 - 889
Main Authors 平博文, 川蔦眞人, 田村裕昭, 佐々木誠人, 野呂純敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」単発性骨嚢腫は主に若年者の長管骨に好発する腫瘍類似疾患であり, 日常診療でも比較的遭遇する機会の多い疾患である. この疾患に関する最初の記載は1876年Virchowによるものであり, 以来その発生成因や治療法について様々な研究が行われたが, いまだ不明な点もある. 今回我々は, Cannulated screwを用いて治療した単発性骨嚢腫の2例を経験し, 現在良好な経過を経ているので, ここに報告する. 症例 症例1:11歳女性 主訴:右足痛 現病歴:平成6年4月頃から誘因なく右足痛出現したため初診した. 初診時X線で右踵骨に嚢胞性陰影を認めた. 平成6年7月26日から11月15日の間に計4回のステロイド注入療法を施行したが, 嚢胞性陰影の縮小化が見られなかったため手術目的で入院した. 家族歴, 既往歴ともに特記すべきことはなかった. 入院時現症:右踵部外側にステロイド注入の際の手術創を認める他は視, 触診で異常は認めず, また検査所見にも特に異常は見られなかった. 単純X線:右踵骨の前外側いわゆるRavelliの三角と呼ばれる部位に25×20mm, 境界明瞭な骨透亮像を認めた. 骨膜反応, 病的骨折はなく, 計4回のステロイド注入後も嚢胞性陰影の縮小化は認められなかった(図1). ステロイド注入時の嚢腫内容液が黄褐色淡血性で血漿様液体であったこととX線所見から単発性骨嚢腫と診断し, 平成6年12月27日除圧目的でCannulated screwを留置した.
ISSN:0037-1033