星状神経節ブロックによる鼻粘膜組織酸素分圧の変化について
「I はじめに」 星状神経節ブロック(Stellate ganglion block以下SGB)は, 1925年に初めて報告されて以来多くの疾患の治療に用いられている. 耳鼻咽喉科領域の適応疾患としては, 突発性難聴, 顔面神経麻痺等が挙げられ, 最近では鼻アレルギーに対し有効という報告1)2)3)もある. SGBは末梢血管を拡張し血流増加を生ずる. それを皮膚温, 指尖容積脈波, 頸動脈等の血流量測定などから検討した報告4)はある. また, SGBの効果判定の一つとして, 一過性の鼻閉をきたし, それに関する研究も報告されてきた. しかし, SGB時の鼻粘膜血行の状態はいまだ不明な点が多い....
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 93; no. 2; pp. 157 - 347 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科学会
20.02.1990
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ISSN | 0030-6622 |
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Summary: | 「I はじめに」 星状神経節ブロック(Stellate ganglion block以下SGB)は, 1925年に初めて報告されて以来多くの疾患の治療に用いられている. 耳鼻咽喉科領域の適応疾患としては, 突発性難聴, 顔面神経麻痺等が挙げられ, 最近では鼻アレルギーに対し有効という報告1)2)3)もある. SGBは末梢血管を拡張し血流増加を生ずる. それを皮膚温, 指尖容積脈波, 頸動脈等の血流量測定などから検討した報告4)はある. また, SGBの効果判定の一つとして, 一過性の鼻閉をきたし, それに関する研究も報告されてきた. しかし, SGB時の鼻粘膜血行の状態はいまだ不明な点が多い. さらに, 今日, 鼻アレルギーは背景に自律神経の不均衡状態が存在するという考えが一般的であるが, その鼻粘膜の血行動態も明らかではない. そこで今回, SGBを正常人と鼻アレルギー患者に行い, 鼻粘膜組織酸素分圧を測定した. 同時に正常人では鼻腔通気度を, 鼻アレルギーでは下甲介前端の温度を測定し, SGBの鼻粘膜に与える影響について検討し, 若干の知見をえたので報告する. |
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ISSN: | 0030-6622 |