β1-4系ガラクトオリゴ糖のヒト腸内菌叢に及ぼす影響
(1) βガラクトシダーゼの転移反応を利用して乳糖から転移2糖を含むβ14系ガラクトオリゴ糖混合物(4'-GOS)を調製し, 腸内細菌叢構成菌株によるin vitro 資化性試験およびヒトへの投与試験(難消化性の検証および菌叢や腸内代謝活性への影響)を行った. (2) In vitro 資化性試験において, 転移2糖は乳糖を利用可能な菌株に資化された. 3糖はBifidobacterium属の5種と, Lactobacillus acidophilus, L. reuteri, L. salivarius, Mitsuokella multiacidus, Enterococcus...
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Published in | ビフィズス Vol. 9; no. 1; pp. 5 - 18 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ビフィズス菌センター
1995
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Summary: | (1) βガラクトシダーゼの転移反応を利用して乳糖から転移2糖を含むβ14系ガラクトオリゴ糖混合物(4'-GOS)を調製し, 腸内細菌叢構成菌株によるin vitro 資化性試験およびヒトへの投与試験(難消化性の検証および菌叢や腸内代謝活性への影響)を行った. (2) In vitro 資化性試験において, 転移2糖は乳糖を利用可能な菌株に資化された. 3糖はBifidobacterium属の5種と, Lactobacillus acidophilus, L. reuteri, L. salivarius, Mitsuokella multiacidus, Enterococcus faeciumとStreptococcus intermediusに資化され, 4糖はB.adolescentis, B. breve, B. infantis, E. faecium に資化された. 精製されたガラクトオリゴ糖の再構成混合物は2糖と3糖の中間的な資化性を示した. (3) 4'-GOSを投与したヒトから呼気を採取し, 含まれる水素ガスの有無を調べたところ, 20名中17名に顕著な水素ガスの発生が観察された. このことより, 4'-GOSは難消化性のオリゴ糖混合物であることがわかった. (4) 被験者をBifidobacteriumの比較的少ない人の群(4'-GOSを2.5 g/day 投与した群)と比較的多い人の群(10g/day 投与した群)に分けて3週間投与したところ, 両群ともにBifidobacteriumが増加し, とくに2.5g投与群ではBifidobacterium菌数の維持も認められた. 糞便中の胆汁酸量について, 両群ともに投与によってdeoxycholic acid の減少傾向が示された. また被験者各個人の非1次胆汁酸量(deoxycholic acid とlithocholic acid とursodeoxycholic acid の合計量)では, 2.5g投与群で9名のうち7名(78%)と10g投与群で8名のうち7名(88%)に減少がみられた. 糞便中の酢酸, プロピオン酸, 酪酸は10g投与群で減少したが, 有機酸全体に対する構成比率は変わらなかった. (5) 以上のことより, 4'-GOSはヒトに対して難消化性であることが確認されるとともに, Bifidobacteriumを増殖させることがわかり, さらに胆汁酸代謝にも影響を与える可能性も示唆された. |
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ISSN: | 0914-2509 |