大腿骨遠位端骨折に対するIntramedullary Supracondylar Nailの使用経験

「はじめに」大腿骨遠位端は, 解剖学的に骨皮質が薄く海綿骨が多い. そのため特に骨皮質の脆弱な骨粗鬆症の強い高齢者における骨折は, 強固な固定が得られず治療に難渋する事が多い. 今回我々は, Intramedullary Supracondylar nail(以下IMSC nailと略)を用い治療を行なったので, 文献的考察を加えその術後の短期成績について報告する. 対象 1994年4月から1995年6月までの1年2ヵ月間に大腿骨遠位端骨折に対しIMSC nailを使用し, 観血的治療を行なった症例は10例11骨折(男性1例1骨折, 女性9例10骨折). 年齢は49歳から85歳(平均73.9歳...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 1009 - 1012
Main Authors 名護秀, 浅倉敏明, 田中憲治, 吉田拓也, 吉田健治, 安藤則行, 副島崇, 石田漂太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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Summary:「はじめに」大腿骨遠位端は, 解剖学的に骨皮質が薄く海綿骨が多い. そのため特に骨皮質の脆弱な骨粗鬆症の強い高齢者における骨折は, 強固な固定が得られず治療に難渋する事が多い. 今回我々は, Intramedullary Supracondylar nail(以下IMSC nailと略)を用い治療を行なったので, 文献的考察を加えその術後の短期成績について報告する. 対象 1994年4月から1995年6月までの1年2ヵ月間に大腿骨遠位端骨折に対しIMSC nailを使用し, 観血的治療を行なった症例は10例11骨折(男性1例1骨折, 女性9例10骨折). 年齢は49歳から85歳(平均73.9歳)であった. 骨折型はAO分類9)にて, A2が3骨折, A3が2骨折, C2が5骨折, C3が1骨折であった(図1). 受傷原因は転倒が6骨折, 転落が3骨折, 交通事故が2骨折であった. 方法 手術法はIMSC nailを使用し, 9骨折に対しopen techniqueを用いた. うち3骨折にextensile approach7)11)にて手術を行なった. また, 2骨折に対しclosed technique4)を用いた. 全荷重歩行訓練は術後平均10週より行った. 術後成績評価にはNeer10)の機能的評価および解剖学的評価を用いた治療判定基準を使用した. このうち, 労働能力については, 日常生活活動として評価した.
ISSN:0037-1033