膵癌の疑いで切除された慢性膵炎 (非膵癌) 症例と, 慢性膵炎と考え経過観察した膵癌症例のプロファイル調査

「要旨」:慢性膵炎の中には, 膵癌と臨床上類似する症例が存在する. しかし, 実際に鑑別困難例がどの程度の割合存在するか, またどのように鑑別が困難なのかについての詳細は明らかにされていない. 今回, 厚生労働省難治性疾患等克服研究事業難治性膵疾患に関する調査研究班における共同研究として「膵癌疑いで切除された慢性膵炎(非膵癌)症例プロファイル調査」を行った. 2001~2011年において, 鑑別困難例の症例数調査(1次調査)では, 29施設から膵癌疑いで切除された非膵癌症例125例, 非膵癌と考え経過観察した膵癌症例26例を集積した. 2次調査として症例プロファイル調査を行い, 23施設からそ...

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Published in膵臓 Vol. 30; no. 5; pp. 649 - 653
Main Authors 黒河内顕, 佐田尚宏, 小泉大, 笹沼英紀, 安田是和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.10.2015
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Summary:「要旨」:慢性膵炎の中には, 膵癌と臨床上類似する症例が存在する. しかし, 実際に鑑別困難例がどの程度の割合存在するか, またどのように鑑別が困難なのかについての詳細は明らかにされていない. 今回, 厚生労働省難治性疾患等克服研究事業難治性膵疾患に関する調査研究班における共同研究として「膵癌疑いで切除された慢性膵炎(非膵癌)症例プロファイル調査」を行った. 2001~2011年において, 鑑別困難例の症例数調査(1次調査)では, 29施設から膵癌疑いで切除された非膵癌症例125例, 非膵癌と考え経過観察した膵癌症例26例を集積した. 2次調査として症例プロファイル調査を行い, 23施設からそれぞれ78例, 16例の症例報告を得た. EUS-FNAもしくは膵管擦過細胞診等でclass IV, Vを認めた症例が12例報告された. 膵癌における細胞診偽陽性症例は少数であるが報告があり, その頻度や背景について今後の詳細な検討が必要である.
ISSN:0913-0071