頸部CTにおける喉頭の偏位と回転
「I 緒言」 喉頭斜位は, 喉頭の軟骨で構成される枠組が, 著明な左右非対称をしめす喉頭の形態異常である. また斜位をきたす明らかな原因がない場合, 特発性喉頭斜位と診断される1). ほとんどは体軸にたいして右に偏向する右斜位であり左斜位はまれである1). 喉頭斜位では枠組のみが体軸に対して傾いている場合と, 声帯も枠組とともに傾いている場合の二通りがある. 後者の場合は喉頭所見で片側の声帯運動が制限されているようにみえるため, 片側の反回神経麻痺と誤診されることがある. またこのような声帯にたまたま悪性腫瘍が発生した場合には, その進展度診断に誤りを生じる危険があるので注意を要する1). と...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 93; no. 1; pp. 1 - 151 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科学会
1990
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ISSN | 0030-6622 |
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Summary: | 「I 緒言」 喉頭斜位は, 喉頭の軟骨で構成される枠組が, 著明な左右非対称をしめす喉頭の形態異常である. また斜位をきたす明らかな原因がない場合, 特発性喉頭斜位と診断される1). ほとんどは体軸にたいして右に偏向する右斜位であり左斜位はまれである1). 喉頭斜位では枠組のみが体軸に対して傾いている場合と, 声帯も枠組とともに傾いている場合の二通りがある. 後者の場合は喉頭所見で片側の声帯運動が制限されているようにみえるため, 片側の反回神経麻痺と誤診されることがある. またこのような声帯にたまたま悪性腫瘍が発生した場合には, その進展度診断に誤りを生じる危険があるので注意を要する1). ところでヒトの喉頭は一般には, 体軸に対してどのような位置に存在するのであろうか?. この問に答えるために以下の検討を行ったところ, 若干の知見が得られたので報告する. 「II 対象と方法」 喉頭を含む頸部領域の精査目的で撮影された315例のCTを対象とした. |
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ISSN: | 0030-6622 |