Ivalonを用いた髄膜腫に対する人工塞栓術

頭蓋内髄膜腫の手術成績は, CTなどのX線機器の開発・進歩により早期発見および正確な部位診断が可能になったこと, また手術顕微鏡を含めた手術器具の改良などにより, 年々向上している. しかし, 不完全摘出に終わる髄膜腫もいまだまれではない. この良性腫瘍の摘出手術に際しては, その大きさや局在はもちろん, 術中の出血処理が手術の成否の鍵を握ると思われる. 従来より, この術中出血の減少を目的として外頸動脈の結紮が行われてきたが, 出血の著明な減少を得ることが困難なこと, さらには外頸動脈を犠牲にしてしまうことは問題である. 近年, X線機器の改良や血管造影手技の進歩に伴い, 外頸動脈系を主な栄...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 25; no. 2; pp. 103 - 109
Main Authors 小池哲雄, 佐々木修, 石井鐐二, 田中隆一, 伊藤寿介, 尾崎建二郎, 新井弘之, 亀山茂樹, 谷村憲一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1985
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ISSN0470-8105

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Summary:頭蓋内髄膜腫の手術成績は, CTなどのX線機器の開発・進歩により早期発見および正確な部位診断が可能になったこと, また手術顕微鏡を含めた手術器具の改良などにより, 年々向上している. しかし, 不完全摘出に終わる髄膜腫もいまだまれではない. この良性腫瘍の摘出手術に際しては, その大きさや局在はもちろん, 術中の出血処理が手術の成否の鍵を握ると思われる. 従来より, この術中出血の減少を目的として外頸動脈の結紮が行われてきたが, 出血の著明な減少を得ることが困難なこと, さらには外頸動脈を犠牲にしてしまうことは問題である. 近年, X線機器の改良や血管造影手技の進歩に伴い, 外頸動脈系を主な栄養血管とする本腫瘍に対し, 術中出血の減少を目的として選択的catheterization下に人工的塞栓術(embolization)を行い, 比較的良好な成績が得られている. これまでの報告では, 塞栓材料(emboli)としてgelfoamを用いていることが多い. Gelfbamは操作性が良く加工しやすい反面, 比較的容易に生体に吸収され栓塞血管の再開通が短時日に起こり, したがってembolization施行後は速やかに根治手術を行う必要がある5, 14). 最近我々は, emboliとしてgelfoamと比べて操作性や加工性ではやや劣るものの, 非吸収性であるIvalon(polyvinyl alcohol foam)に着目し検討を行ってきた. 本稿ではこれまでの報告と比較しつつ, 頭蓋内髄膜腫に対するIvalonを用いたembolizationの効果を, 脳血管造影やCT上の変化, 術中所見さらに腫瘍の組織学的変化などより検討し, 若干の文献的考察を加える.
ISSN:0470-8105