リンパ節・卵巣転移を伴った若年女性のIntraductal Papillary Neoplasm of Bile Duct(IPNB)の1例

要旨:症例は30歳女性, 2007年夏頃より繰り返す発熱を自覚していた. 2008年10月に発熱・背部痛を認め近医受診した際, 肝機能障害及び腹部超音波検査にて肝嚢胞性病変を指摘された. 腹部CTにて, 肝左葉に充実性成分を含む巨大嚢胞性病変を認め当院紹介となった. 精査の結果, 右卵巣及び腹腔内・縦隔リンパ節転移を伴うIPNBと診断し, 2008年12月手術を施行した. 開腹時, 肝左葉に多発する巨大な嚢胞性病変を認め, 広範リンパ節および右卵巣への転移を認めたが, 可及的切除による予後改善を期待し, 肝拡大左葉切除術・胆管切除および胆道再建術, 右卵巣摘出術を施行した. 術後, 塩酸ゲムシ...

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Published in胆道 Vol. 26; no. 2; pp. 231 - 236
Main Authors 吉田優子, 味木徹夫, 上野公彦, 大坪出, 村上冴, 篠崎健太, 松本逸平, 福本巧, 具英成, 神澤真紀, 伊藤智雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.05.2012
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Summary:要旨:症例は30歳女性, 2007年夏頃より繰り返す発熱を自覚していた. 2008年10月に発熱・背部痛を認め近医受診した際, 肝機能障害及び腹部超音波検査にて肝嚢胞性病変を指摘された. 腹部CTにて, 肝左葉に充実性成分を含む巨大嚢胞性病変を認め当院紹介となった. 精査の結果, 右卵巣及び腹腔内・縦隔リンパ節転移を伴うIPNBと診断し, 2008年12月手術を施行した. 開腹時, 肝左葉に多発する巨大な嚢胞性病変を認め, 広範リンパ節および右卵巣への転移を認めたが, 可及的切除による予後改善を期待し, 肝拡大左葉切除術・胆管切除および胆道再建術, 右卵巣摘出術を施行した. 術後, 塩酸ゲムシタビン, S-1による化学療法を施行. 術後2年半経過した現在, 腹腔内・縦隔リンパ節転移が緩徐に増大を認めるも生存中である. 「はじめに」Intraductal papillary neoplasm of bile duct(以下IPNB)は, 胆管内に乳頭状増殖を主体とする腫瘍が多量の粘液を産生し胆管閉塞症状などをきたすことを特徴とする比較的稀な疾患であり, 通常型の胆管癌と比較して一般にslow growingで予後良好とされている.
ISSN:0914-0077