胸痛を主訴とした頚胸移行部硬膜内enterogenous cystの一例
「はじめに」Enterogenous cystは組織が腸管上皮に似ていることに由来する比較的稀な疾息である. 今回, 胸痛と歩行障害を主訴とした脊柱管内発生例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 「症例」43才男性 主訴:胸痛, 歩行障害 既往歴:高血圧症 家族歴:特記すべき事項無し. 現病歴:平成4年に嚥下時や, 乗車中の車のバウンド時に胸痛が出現し近医を受診. 狭心症疑いにて精査するも異常なく, 軽い季節性のうつ病との診断にて抗うつ薬投与され軽快した. 平成11年5月, 再度胸痛出現し, 同様の抗うつ薬投与されるも軽快せず, さらに歩行障害が加わったため当科受診となった. 来院...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 3; pp. 718 - 722 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2000
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 「はじめに」Enterogenous cystは組織が腸管上皮に似ていることに由来する比較的稀な疾息である. 今回, 胸痛と歩行障害を主訴とした脊柱管内発生例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 「症例」43才男性 主訴:胸痛, 歩行障害 既往歴:高血圧症 家族歴:特記すべき事項無し. 現病歴:平成4年に嚥下時や, 乗車中の車のバウンド時に胸痛が出現し近医を受診. 狭心症疑いにて精査するも異常なく, 軽い季節性のうつ病との診断にて抗うつ薬投与され軽快した. 平成11年5月, 再度胸痛出現し, 同様の抗うつ薬投与されるも軽快せず, さらに歩行障害が加わったため当科受診となった. 来院時所見:両上肢と上胸部に軽い疼痛を訴え, 頚胸移行部脊椎に叩打痛を認めた. 深部反射は上肢は正常であったが, 下肢は亢進していた. 病的反射, 膀胱直腸障害は認めなかった. 一方, 頸部前屈にて両上肢と胸部に電激痛が走るLhermitte徴侯を認めた. また臍上部以下の痛覚鈍麻を認め, 徒手筋力テストでは左下肢で低下を認めた. |
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ISSN: | 0037-1033 |