Air CT cisternographyによる小さな聴神経腫瘍の診断

聴神経腫瘍の手術手技, 手術による合併症および患者の社会復帰に関してもっとも重要な因子は腫瘍の大きさである9). 腫瘍全剔術後の死亡率には, 大きな腫瘍と小さな腫瘍で明らかな差が認められる9). 顔面神経の術後の機能維持も腫瘍の大きさに関係し, 比較的小さな腫瘍と大きな腫瘍とでは明らかな違いが認められる9). それゆえ, 聴神経腫瘍を小さいうちに早期発見することは重要である. CTの出現により聴神経腫瘍の神経放射線学的検査の進め方は変化したが, 新しい世代のCT機種を使用して経静脈性に造影剤を投与したのちのCT(contrast CT)を行っても, 内耳道から小脳橋角槽に突出した大きさが1cm...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. 6; pp. 441 - 446
Main Authors 柳下章, 神崎仁, 志賀逸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:聴神経腫瘍の手術手技, 手術による合併症および患者の社会復帰に関してもっとも重要な因子は腫瘍の大きさである9). 腫瘍全剔術後の死亡率には, 大きな腫瘍と小さな腫瘍で明らかな差が認められる9). 顔面神経の術後の機能維持も腫瘍の大きさに関係し, 比較的小さな腫瘍と大きな腫瘍とでは明らかな違いが認められる9). それゆえ, 聴神経腫瘍を小さいうちに早期発見することは重要である. CTの出現により聴神経腫瘍の神経放射線学的検査の進め方は変化したが, 新しい世代のCT機種を使用して経静脈性に造影剤を投与したのちのCT(contrast CT)を行っても, 内耳道から小脳橋角槽に突出した大きさが1cm以下の聴神経腫瘍を描出することは困難なことが多い. 我々は小さな聴神経腫瘍が疑われる症例に対して, 少量の空気を腰椎穿刺にて投与し小脳橋角槽に集めてair CT cisternography(air CT)を行い, 高空間分解能法(target imaging)を併用することにより, 小脳橋角槽にわずかに突出した腫瘍および内耳道内に限局した腫瘍を描出することができた.
ISSN:0470-8105