男性における手根管症候群の臨床的背景

目的 わが国では手根管症候群(CTS)は, 男性の約9~10倍の頻度で女性に多いといわれている1)2)8)9). しかし当院のCTS手術例の男女比は約1:3であり, 他施設の報告に比べて男性例が多い. また術後経過を追跡する上で, 男性の方が女性よりも治りにくい印象があったので, 今回は, 男性におけるCTSの特徴を明らかにすべく検討を行った. 対象と方法 平成5年1月から平成8年12月の4年間に手術を行ったCTSは281手であった. このうち男性例は63例78手(27.7%)であり, これを今回の検討対象とした. 女性165例203手のうち, 資料のそろった92例131手を抽出し, コントロ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 3; pp. 1011 - 1017
Main Authors 吉原由樹, 貝田英二, 木村和也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:目的 わが国では手根管症候群(CTS)は, 男性の約9~10倍の頻度で女性に多いといわれている1)2)8)9). しかし当院のCTS手術例の男女比は約1:3であり, 他施設の報告に比べて男性例が多い. また術後経過を追跡する上で, 男性の方が女性よりも治りにくい印象があったので, 今回は, 男性におけるCTSの特徴を明らかにすべく検討を行った. 対象と方法 平成5年1月から平成8年12月の4年間に手術を行ったCTSは281手であった. このうち男性例は63例78手(27.7%)であり, これを今回の検討対象とした. 女性165例203手のうち, 資料のそろった92例131手を抽出し, コントロールとした. 手術時年齢は26歳より89歳(平均57,9歳)で, 発症より手術までの期間は3ケ月より約20年であった. 術後経過観察期間は平均13ケ月であった. 発症要因にっいて, 立花の分類9)を用いて検討した. 術前の重症度は浜田の基準2)に従って分類した(表1), 手術成績の評価については, 一般にCTSで患者が訴える症状は痛みとしびれであり, 母指球筋の萎縮による運動障害などについてはあまり強く訴えないので, 知覚神経の症状に注目した判定基準を作成し11), これを用いて評価した.
ISSN:0037-1033