手指伸筋fibrous bandによる手関節・手指伸展拘縮の1例

先天性のfibrous bandによる手関節, 手指伸展拘縮例の報告はなく前腕伸筋群における筋短縮症の報告も検索した範囲では2つの文献4)6)のみである. 今回, 示指伸筋EIPと破格筋である中指伸筋EMPのfibrous bandおよび長母指伸筋EPLと総指伸筋EDCの筋短縮により手指伸展拘縮をきたした症例を経験したので報告する. 症例 1)現病歴 症例は42才男性, 主訴は左手関節屈曲位における母指, 示指, 中指の屈曲困難であった. 前腕における外傷, 注射等の既往は無く, 家族歴にも特記すべきことはない. 中学生の時に肩に指がつかない, お椀をとりにくいなどの手関節屈曲時の手指の屈曲障...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 3; pp. 817 - 821
Main Authors 豊原一作, 金谷文則, 新垣宜貞, 茨木邦夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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ISSN0037-1033

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Summary:先天性のfibrous bandによる手関節, 手指伸展拘縮例の報告はなく前腕伸筋群における筋短縮症の報告も検索した範囲では2つの文献4)6)のみである. 今回, 示指伸筋EIPと破格筋である中指伸筋EMPのfibrous bandおよび長母指伸筋EPLと総指伸筋EDCの筋短縮により手指伸展拘縮をきたした症例を経験したので報告する. 症例 1)現病歴 症例は42才男性, 主訴は左手関節屈曲位における母指, 示指, 中指の屈曲困難であった. 前腕における外傷, 注射等の既往は無く, 家族歴にも特記すべきことはない. 中学生の時に肩に指がつかない, お椀をとりにくいなどの手関節屈曲時の手指の屈曲障害に気づいたが, 近医受診するも治らないと言われたため放置していた. その後, 症状の進行は見られなかった. 最近では検診時に胃透視台の手すりを掴みにくいことを不便に感じていた. 感冒のため内科を受診した際に整形外科受診を勧められ来院となった. 2)理学所見 前腕背側に陥凹を認め, 前腕橈側から手背に手関節, 手指屈曲時に緊張の強くなる索状物を触れた. 瘢痕および局所の炎症所見は認められず, 前腕周径に左右差は無かった. 握力は右50kgに対し左は40kgで, 患側である左手関節は把持の際には右手関節より強く背屈した.
ISSN:0037-1033