広範囲(肩甲下筋腱~棘下筋腱)に発症した石灰沈着性腱板炎の一例
石灰沈着性腱板炎では棘上筋腱に限局するものがほとんどである. 今回, 肩甲下筋腱から棘下筋腱まで広範囲に生じた稀な石灰沈着性腱板炎の一例を経験したので報告する. 症例は51歳女性. 2年前より右肩痛出現. 近医にて保存療法を受けたが, 症状改善しないため当院紹介となった. 手術時, 石灰沈着部位は滑液包側, 関節内鏡視下からは確認できず, 腱内に埋入していると考えられた. 術前3D-CTで石灰の位置を予測し, 上腕二頭筋長頭腱を指標に肩甲下筋腱から棘下筋腱まで試験切開を行い, 石灰を摘出した. 二次的に生じた腱板断裂に対しては鏡視下腱板縫合術を追加した. 術後6ヶ月の現在, 術前の疼痛は軽減し...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 61; no. 2; pp. 298 - 301 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2012
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ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 石灰沈着性腱板炎では棘上筋腱に限局するものがほとんどである. 今回, 肩甲下筋腱から棘下筋腱まで広範囲に生じた稀な石灰沈着性腱板炎の一例を経験したので報告する. 症例は51歳女性. 2年前より右肩痛出現. 近医にて保存療法を受けたが, 症状改善しないため当院紹介となった. 手術時, 石灰沈着部位は滑液包側, 関節内鏡視下からは確認できず, 腱内に埋入していると考えられた. 術前3D-CTで石灰の位置を予測し, 上腕二頭筋長頭腱を指標に肩甲下筋腱から棘下筋腱まで試験切開を行い, 石灰を摘出した. 二次的に生じた腱板断裂に対しては鏡視下腱板縫合術を追加した. 術後6ヶ月の現在, 術前の疼痛は軽減し, リハビリテーション加療中である. これまで肩甲下筋腱から棘下筋腱に発症した石灰沈着性腱板炎例の報告例は未だにない. また石灰沈着部位を評価する上で術前3D-CTは極めて有用であった. 「はじめに」石灰沈着性腱板炎はその発症時期によって急性期型, 亜急性期型, 慢性期型に分類される3). |
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ISSN: | 0037-1033 |