超音波気管支鏡ガイド下針生検 (EBUS-TBNA) により診断した肺腺癌と甲状腺乳頭癌の同時性重複癌の1例

「要約」- 背景. 甲状腺癌と肺癌の同時性重複癌はしばしば報告されているが, 画像所見のみでは甲状腺癌単独の肺転移と鑑別が困難なことがある. 症例. 76歳, 女性. CTで甲状腺に石灰化を伴う腫瘤, 多発肺結節を認め, 穿刺細胞診の結果と合わせて甲状腺乳頭癌の多発遠隔転移と判断された. Positron emission tomography (PET)-CTでは, 肺門および縦隔リンパ節骨に異常集積を認めた. 肺癌合併の可能性も考慮し, 気管分岐下リンパ節に対してEBUS-TBNAを施行した. その結果, Napsin-A, EGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌と診断され, 甲状腺癌(cT2N1...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 6; pp. 613 - 618
Main Authors 松本錦之介, 谷崎智史, 柳瀬隆文, 九野貴華, 新津敬之, 玄山宗到, 内田純二, 上野清伸, 北村貴裕, 伏見博彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2019
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Summary:「要約」- 背景. 甲状腺癌と肺癌の同時性重複癌はしばしば報告されているが, 画像所見のみでは甲状腺癌単独の肺転移と鑑別が困難なことがある. 症例. 76歳, 女性. CTで甲状腺に石灰化を伴う腫瘤, 多発肺結節を認め, 穿刺細胞診の結果と合わせて甲状腺乳頭癌の多発遠隔転移と判断された. Positron emission tomography (PET)-CTでは, 肺門および縦隔リンパ節骨に異常集積を認めた. 肺癌合併の可能性も考慮し, 気管分岐下リンパ節に対してEBUS-TBNAを施行した. その結果, Napsin-A, EGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌と診断され, 甲状腺癌(cT2N1bM0/Stage II)と肺癌(cT4N3M1c/Stage IVB)の同時性重複癌と考えられた. アファチニブを開始したところ, 甲状腺以外の病変は著明な縮小を認めた. 結論. 甲状腺乳頭癌に肺門あるいは縦隔リンパ節腫大が認められる場合, 同部位へのEBUS-TBNAは肺癌との重複癌と甲状腺癌単独の肺転移を鑑別するのに有用な可能性がある.
ISSN:0287-2137