大腿骨頭の変形を観察するための体内股関節圧迫法

「緒言」成長期の大腿骨頭の変形をきたす疾患には, 骨頭辷り症, 先天股脱ペルテス様変化, ペルテス病などがあり, これらの発生原因の一つとして骨頭への機械的ストレスの関与が指摘されている5)6)11). これらの病態解明のための一方法として, 実験的に小動物の骨頭の圧迫状態を作製することは極めて有用である. 本論文では著者らが考案した方法を紹介し, その有用性を検討する. 股関節圧迫装置の紹介 我々は, ラットの股関節を摘出せず体内において荷重を加えるための装置を考案した(図1). この装置にラットを固定するために, 先ず後方より正中切開を加え, 経筋肉的に両側の腸骨へ直径1.5mmのキュルシ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 743 - 747
Main Authors 吉田伍一, 平野徹, 岩崎勝郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「緒言」成長期の大腿骨頭の変形をきたす疾患には, 骨頭辷り症, 先天股脱ペルテス様変化, ペルテス病などがあり, これらの発生原因の一つとして骨頭への機械的ストレスの関与が指摘されている5)6)11). これらの病態解明のための一方法として, 実験的に小動物の骨頭の圧迫状態を作製することは極めて有用である. 本論文では著者らが考案した方法を紹介し, その有用性を検討する. 股関節圧迫装置の紹介 我々は, ラットの股関節を摘出せず体内において荷重を加えるための装置を考案した(図1). この装置にラットを固定するために, 先ず後方より正中切開を加え, 経筋肉的に両側の腸骨へ直径1.5mmのキュルシュナー鋼線を刺入する. 次に, ラット大腿骨顆部の形状に適合するように左右別々に作成した大腿骨固定用のジグを(図2), 膝関節包を切開して取り付け, このジグにキュルシュナー鋼線を通す. さらにこの2本の鋼線を股関節の角度を一定に保つための透明なアクリル製側板に通し, この側板をラットテーブルにはめ込み固定する. この手順で固定したラットの大腿骨側鋼線を直達索引用馬蹄を用いて緊張させ, これに大腿骨長軸に沿って荷重が加わるように滑車とテクミロン糸を用いて重垂を吊すと股関節の圧迫ができる.
ISSN:0037-1033