持続硬膜外ブロック中に生じた感染症の経験

「はじめに」今日, 持続硬膜外ブロックは, 整形外科領域においても, 術後の疼痛管理や癌性疼痛のコントロール, あるいは椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの治療目的として広く用いられている. しかし, 異物であるカテーテルを体外から硬膜外腔に留置するうえ, 期間も長期に及ぶことがあり合併症として感染症を起こす可能性がある. 持続硬膜外ブロックに合併する感染症に関しては, 硬膜外膿瘍や化膿性髄膜炎についての報告は以前からなされていたものの非常に稀なものとされてきた. 事実, 産科領域で施行された50万回にのぼる硬膜外麻酔の合併症を調査したScottとHibbardの報告では感染症の合併は皆無で...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 3; pp. 688 - 691
Main Authors 高下光弘, 園田広典, 中村英次郎, 田北親寛, 家坂一穂, 吉田盛治, 浅尾恒徳, 真角昭吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」今日, 持続硬膜外ブロックは, 整形外科領域においても, 術後の疼痛管理や癌性疼痛のコントロール, あるいは椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの治療目的として広く用いられている. しかし, 異物であるカテーテルを体外から硬膜外腔に留置するうえ, 期間も長期に及ぶことがあり合併症として感染症を起こす可能性がある. 持続硬膜外ブロックに合併する感染症に関しては, 硬膜外膿瘍や化膿性髄膜炎についての報告は以前からなされていたものの非常に稀なものとされてきた. 事実, 産科領域で施行された50万回にのぼる硬膜外麻酔の合併症を調査したScottとHibbardの報告では感染症の合併は皆無であった25). しかし, 持続硬膜外ブロックの適応が広がり日常的に使用するようになり, 感染症合併の報告例が多くなってきている. 今回, 持続硬膜外ブロック中に感染症を生じた4症例を経験したので報告する. 症例 症例は男性3例, 女性1名, 感染症の発症時の年齢は13才から73才であった. 持続硬膜外ブロックの対象となった疾患は腰部脊柱管狭窄症が2症例, 骨盤腫瘍による癌性疼痛コントロール目的, ならびに大腿骨頭辷り症の股関節痛コントロール目的がそれぞれ1症例であった.
ISSN:0037-1033