外傷性鎖骨両端脱臼の1例
肩鎖関節脱臼および胸鎖関節脱臼の単独損傷は比較的よく遭遇する外傷であるが, その合併は稀である. 今回われわれは, 肩鎖関節脱臼と胸鎖関節脱臼を同側に合併した外傷性鎖骨両端脱臼の1例を経験したので報告する. 症例:42歳, 男性 家族歴, 既往歴:特記する事なし 現病歴:平成7年1月29日, 作業中材木が左肩に倒れてきて受傷する. 直ちに当院に搬入される. 初診時現症:胸鎖関節は前方に突出し, 肩鎖関節は後上方に突出していた(図1). また, 肩鎖関節にpiano key signが認められた. X線所見:単純X線では, 肩鎖関節はTossy分類で3度, Rockwood分類で3型の脱臼を認め...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 4; pp. 1101 - 1103 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
1996
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ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 肩鎖関節脱臼および胸鎖関節脱臼の単独損傷は比較的よく遭遇する外傷であるが, その合併は稀である. 今回われわれは, 肩鎖関節脱臼と胸鎖関節脱臼を同側に合併した外傷性鎖骨両端脱臼の1例を経験したので報告する. 症例:42歳, 男性 家族歴, 既往歴:特記する事なし 現病歴:平成7年1月29日, 作業中材木が左肩に倒れてきて受傷する. 直ちに当院に搬入される. 初診時現症:胸鎖関節は前方に突出し, 肩鎖関節は後上方に突出していた(図1). また, 肩鎖関節にpiano key signが認められた. X線所見:単純X線では, 肩鎖関節はTossy分類で3度, Rockwood分類で3型の脱臼を認めた. 胸鎖関節は前方への転位を認めた(図2). CT所見:胸鎖関節は前方に転位していた(図3). 経過 2月10日, 左肩鎖関節脱臼に対して, Walter clvicular plateで整復固定し, 烏口肩峰靱帯移行術を併用した(図4). 胸鎖関節は関節包に小断裂を認め, これを縫縮した. 術後週まで体幹および三角巾固定, 2週目より振子運動, 4週目より挙上外転90度までの可動域運動を行い, 3ヶ月目に抜釘後は全可動域運動を行なった. 術後10ヶ月経過した現在, 外観上外観上胸鎖関節の膨隆は認めるが, 疼痛および可動域制限はない(図5). |
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ISSN: | 0037-1033 |