術後瘢痕声帯に対する音声改善手術の経験
「I. はじめに」一般に, いわゆる声門閉鎖不全疾患のなかで, 術後瘢痕など, 声帯の可撓性が低下した例に対する音声改善手術は, 困難であるといわれている. 今回われわれは, 複数回, 喉頭微細手術をうけた職業歌手症例に対して, 音声の改善を目的として, 粘膜内の瘢痕組織を除去した後に, 自家脂肪注入術を施行し良好な結果がえられたので報告する. 「II. 症例」症例:60歳, 女性 主訴:高い声がでない 現病歴:民謡歌手で, 最近高い声が出なくなったとのことで, 東京ボイスセンターを受診した. 既往歴:過去にポリープ様声帯に対する喉頭微細手術を数回うけていた. 最後の手術は8年前であった. 嗜...
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Published in | 喉頭 Vol. 22; no. 1; pp. 18 - 21 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本喉頭科学会
2010
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-6127 |
Cover
Summary: | 「I. はじめに」一般に, いわゆる声門閉鎖不全疾患のなかで, 術後瘢痕など, 声帯の可撓性が低下した例に対する音声改善手術は, 困難であるといわれている. 今回われわれは, 複数回, 喉頭微細手術をうけた職業歌手症例に対して, 音声の改善を目的として, 粘膜内の瘢痕組織を除去した後に, 自家脂肪注入術を施行し良好な結果がえられたので報告する. 「II. 症例」症例:60歳, 女性 主訴:高い声がでない 現病歴:民謡歌手で, 最近高い声が出なくなったとのことで, 東京ボイスセンターを受診した. 既往歴:過去にポリープ様声帯に対する喉頭微細手術を数回うけていた. 最後の手術は8年前であった. 嗜好:喫煙15本/日(40年間)初診時喉頭ストロボ所見:発声時, 左声帯に粘膜の陥凹を認め, その周囲の粘膜波動は欠如し, 声門閉鎖不全が認められた. 治療経過:(1)声帯内自家脂肪注入術:2006年2月27日, 東海大学医学部付属東京病院にて, 全身麻酔下に, 声帯遊離縁部の形成を目的として, 頬部脂肪組織を用いて, 声帯内自家脂肪注入術を行なった. |
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ISSN: | 0915-6127 |