接着性ケモカイン, フラクタルカイン
「I. はじめに」 急性および慢性の感染症, 自己免疫疾患, アレルギー性疾患などの炎症性疾患では, T細胞やマクロファージを中心とするリンパ系細胞の集簇的浸潤が認められる. また, 腫瘍周囲や移植臓器拒絶片においても同様の細胞浸潤が認められる. すなわち, 生体が異物や損傷に対して自己の恒常性を維持する機構が免疫である. この免疫機構が正常に機能するためには, 免疫担当細胞の発生, 分化, 増殖, 細胞死という一連の過程に加えて, これらの細胞の炎症部位への移行が重要な役割を担っている. 近年, 接着分子やケモカインに関する膨大な研究成果によって, 免疫担当細胞の流血中から組織中への移行のメ...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 90 - 102 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2000
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ISSN | 0911-4300 |
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Summary: | 「I. はじめに」 急性および慢性の感染症, 自己免疫疾患, アレルギー性疾患などの炎症性疾患では, T細胞やマクロファージを中心とするリンパ系細胞の集簇的浸潤が認められる. また, 腫瘍周囲や移植臓器拒絶片においても同様の細胞浸潤が認められる. すなわち, 生体が異物や損傷に対して自己の恒常性を維持する機構が免疫である. この免疫機構が正常に機能するためには, 免疫担当細胞の発生, 分化, 増殖, 細胞死という一連の過程に加えて, これらの細胞の炎症部位への移行が重要な役割を担っている. 近年, 接着分子やケモカインに関する膨大な研究成果によって, 免疫担当細胞の流血中から組織中への移行のメカニズムが急速に解明されつつある. 免疫担当細胞は接着カスケードというステップを介して組織中へと移行するが, 免疫担当細胞が最初に接触するのが血管内皮細胞であり炎症病態への入り口と考えられる1~3). 新たに発見されたフラクタルカインは, 活性化血管内皮細胞上に発現しケモカインとしての遊走活性と接着分子としての機能を合わせ持つユニークなケモカインである4~6). |
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ISSN: | 0911-4300 |