腎臓レニン・アンジオテンシン系(RAS):生命の環を支え, 脅かすもの
「要旨」 レニン・アンジオテンシン系(RAS)は, 腎臓レニンの発見以来, 血圧や体液調節に必須の全身性調節機構(systemic RAS)という古典的コンセプトの時代を経て, RAS阻害に基づく降圧剤の開発とその臨床応用, 新たな局所RAS(local RAS)コンセプトの時代へと目覚ましい展開を遂げている. 特に腎臓RASは, 1)胎児期の腎発生, 2)乳幼児期の腎発達, 3)小児期の腎臓病の発症・進展への関与という, ライフステージの各過程における意義が異なることが明らかとなってきた. 現在, 小児期の慢性腎臓病(CKD)の治療法としてRAS阻害薬が使用され臨床効果のエビデンスが積み重ね...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 26; no. 2; pp. 227 - 231 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児腎臓病学会
15.11.2013
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ISSN | 0915-2245 |
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Summary: | 「要旨」 レニン・アンジオテンシン系(RAS)は, 腎臓レニンの発見以来, 血圧や体液調節に必須の全身性調節機構(systemic RAS)という古典的コンセプトの時代を経て, RAS阻害に基づく降圧剤の開発とその臨床応用, 新たな局所RAS(local RAS)コンセプトの時代へと目覚ましい展開を遂げている. 特に腎臓RASは, 1)胎児期の腎発生, 2)乳幼児期の腎発達, 3)小児期の腎臓病の発症・進展への関与という, ライフステージの各過程における意義が異なることが明らかとなってきた. 現在, 小児期の慢性腎臓病(CKD)の治療法としてRAS阻害薬が使用され臨床効果のエビデンスが積み重ねられつつある. 「序言」 腎臓は不要物を濾過排泄し細胞外液(体液)の恒常性維持に働き, 発生, 発育, 成熟という細胞増殖・分化の時期を支えており, 次世代へ命の環(circle of life)を繋ぐに必要な重要臓器である. |
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ISSN: | 0915-2245 |