高カロリー輸液の臨床由来Candida albicansに対する増殖抑制作用

「緒言」最近のTPN製剤は糖アミノ酸各種イオンをワンバッグ化しており, 従来の混注作業時の手間を少なくするとともに, 汚染防止, 廃棄物の軽減に貢献している1). TPN施用時には, このワンバッグ型製剤にクリーンベンチ内で同時に処方された総合ビタミン剤や微量元素等を混注したクローズドシステムで管理すべきであるが, 高齢化社会の進展とともに対象患者が脳梗塞や虚血性心疾患などを合併し, さらに他の血管確保が困難な場合には単に栄養管理以外の目的でもそのルートを三方活栓等で利用することがある. このことは汚染の機会を増やす可能性を示唆するものであり, 臨床使用上および処方薬剤の効果を十分発揮させる上...

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Published in医療薬学 Vol. 28; no. 3; pp. 259 - 262
Main Authors 石田和久, 中尾承司, 佐多照正, 岩下佳敬, 本田香奈恵, 山下カオリ, 黒木久知, 田辺元, 山崎芳人, 上田勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医療薬学会 2002
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ISSN1346-342X

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Summary:「緒言」最近のTPN製剤は糖アミノ酸各種イオンをワンバッグ化しており, 従来の混注作業時の手間を少なくするとともに, 汚染防止, 廃棄物の軽減に貢献している1). TPN施用時には, このワンバッグ型製剤にクリーンベンチ内で同時に処方された総合ビタミン剤や微量元素等を混注したクローズドシステムで管理すべきであるが, 高齢化社会の進展とともに対象患者が脳梗塞や虚血性心疾患などを合併し, さらに他の血管確保が困難な場合には単に栄養管理以外の目的でもそのルートを三方活栓等で利用することがある. このことは汚染の機会を増やす可能性を示唆するものであり, 臨床使用上および処方薬剤の効果を十分発揮させる上で汚染を未然に防ぐ必要がある. このような状況下での混注作業は消毒剤を使用した操作マニュアルがあるが, その効果は, 実施者の技術に委ねられている2). 通常, TPN液は浸透圧が高く, pHも酸性側であり, 細菌類は増殖しにくい環境となっている. しかし, TPN施行時にファイナルフィルターが目詰まりした場合, まず配合変化による混濁を原因とした目詰まりが否定されると, 酵母菌類による汚染増殖が考えられる3). 特に酵母様真菌であるCandida albicansは細胞壁が強固であり, 高浸透圧かつ酸性条件下でも増殖できるため, Candida albicansが容器内に吸い込まれた場合, 輸液を培地として増殖することも考えられる.
ISSN:1346-342X