シルビウス裂内脂肪腫の1症例

頭蓋内脂肪腫は脳梁部に好発するまれな疾患であり, その大多数は剖検にて偶然に発見されてきた. 最近ではCT装置の普及により, その特徴的なCT所見から生前に診断されることが多くなり, また脳梁部以外の脂肪腫の報告も増加している. 我々は最近, 特異な血管写所見を呈したシルビウス裂内脂肪腫の1症例を経験し, その神経放射線学的所見の特徴および治療方針につき若干の文献的考察を加え, 報告する. 症例 <患者>22才, 男性 主訴:全身痙攣発作 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1981年夏頃より年に5回程度, 睡眠中に全身性間代性痙攣を起こすようになり, 1983年3月22日...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 9; pp. 718 - 721
Main Authors 白石哲也, 土本正治, 木下公吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1986
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ISSN0470-8105

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Summary:頭蓋内脂肪腫は脳梁部に好発するまれな疾患であり, その大多数は剖検にて偶然に発見されてきた. 最近ではCT装置の普及により, その特徴的なCT所見から生前に診断されることが多くなり, また脳梁部以外の脂肪腫の報告も増加している. 我々は最近, 特異な血管写所見を呈したシルビウス裂内脂肪腫の1症例を経験し, その神経放射線学的所見の特徴および治療方針につき若干の文献的考察を加え, 報告する. 症例 <患者>22才, 男性 主訴:全身痙攣発作 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1981年夏頃より年に5回程度, 睡眠中に全身性間代性痙攣を起こすようになり, 1983年3月22日, 当科を受診した. 初診時所見:知能も含めて神経学的には異常なく, 身体的奇形も認められなかった. 脳波は基礎律動の性状が比較的不良であり, 過呼吸にて徐波が混入し, 異常であった. 頭蓋単純写:右頭頂部にわずかな石灰化像がみられたが, その周囲には特にradiolucent areaは認められなかった.
ISSN:0470-8105