慢性関節リウマチに合併したTrigger Wristの1例
「はじめに」trigger-wristは比較的稀な病態で, 手関節の病変が原因となり, 手指または手関節の運動時に手関節の弾撥現象をひきおこす. また, 同時に手根管症候群を合併することが多くみられる. 我々は, 慢性関節リウマチ患者に発生したtrigger wristの1例の治療を経験したので, これを報告する. 症例 症例:51歳, 女性 主訴:右中指, 環指の運動障害, 手関節部の腫瘤 既往歴:慢性関節リウマチ, 子宮癌 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:昭和53年頃より慢性関節リウマチと診断されていた. 平成7年3月頃より右手関節部の腫瘤, 圧痛を認め, 中指, 環指の伸展時に手関節...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 837 - 838 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
1996
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ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 「はじめに」trigger-wristは比較的稀な病態で, 手関節の病変が原因となり, 手指または手関節の運動時に手関節の弾撥現象をひきおこす. また, 同時に手根管症候群を合併することが多くみられる. 我々は, 慢性関節リウマチ患者に発生したtrigger wristの1例の治療を経験したので, これを報告する. 症例 症例:51歳, 女性 主訴:右中指, 環指の運動障害, 手関節部の腫瘤 既往歴:慢性関節リウマチ, 子宮癌 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:昭和53年頃より慢性関節リウマチと診断されていた. 平成7年3月頃より右手関節部の腫瘤, 圧痛を認め, 中指, 環指の伸展時に手関節部に弾撥現象, 疼痛をきたすようになった. 現症:右手関節部に小指頭大の弾性硬の可動性のある腫瘤があり, 中指, 環指の伸展に際し手関節部で疼痛, 弾撥現象を認めた. 中指, 環指の尺側偏位, 母指IP関節伸展位拘縮も認めた. 手指の知覚障害, 筋萎縮は認めなかった. 術中所見:手根管開放を行ったところ, 中指の浅指屈筋腱に, 肥厚した滑膜が腫瘤を形成していた. また, 中指の浅指屈筋腱と深指屈筋腱は滑膜炎のために癒着していた. 環指と中指の深指屈筋腱の癒着もみられた. 中指の浅指屈筋腱に生じた腫瘤を切除し, 弾撥現象の消失を確認した. 正中神経には, 圧迫を示す所見はなかった. |
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ISSN: | 0037-1033 |