脊柱管内嚢腫(椎間板嚢腫)の3例

「はじめに」腰痛および腰部神経根症状を呈し, 手術治療を行った腰椎椎間板ヘルニアが原因と考えられた腰部脊柱管内嚢腫の3例の画像所見と病態について検討し, その発症のメカニズムについて考察を加える. 対象と方法 症例は3例, (以下症例1, 症例2, 症例3とする)全例男性で手術時年齢は20~40歳, 平均27.0歳であった. 発生椎間板高位はL4/5が2例, L3/4が1例であった. 嚢腫の局在は, L5椎体頭側に位置するものが2例, L3椎体尾側が1例であった(表1). これらの症例の臨床経過と症状について, 術前検査として全例にMRI, Gd造影MRI, 脊髄造影, CTMを行い, さらに...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 1; pp. 99 - 102
Main Authors 渋谷整, 今井健, 石井秀典, 小西明, 藤井基弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033

Cover

More Information
Summary:「はじめに」腰痛および腰部神経根症状を呈し, 手術治療を行った腰椎椎間板ヘルニアが原因と考えられた腰部脊柱管内嚢腫の3例の画像所見と病態について検討し, その発症のメカニズムについて考察を加える. 対象と方法 症例は3例, (以下症例1, 症例2, 症例3とする)全例男性で手術時年齢は20~40歳, 平均27.0歳であった. 発生椎間板高位はL4/5が2例, L3/4が1例であった. 嚢腫の局在は, L5椎体頭側に位置するものが2例, L3椎体尾側が1例であった(表1). これらの症例の臨床経過と症状について, 術前検査として全例にMRI, Gd造影MRI, 脊髄造影, CTMを行い, さらに2例(症例1, 症例2)に椎間板造影およびCTDを行い検討した. そして手術時に摘出した組織を病理学的に検討した. 結果 臨床経過は全例特に誘因なく腰痛, 下肢痛で発症受診時は片側の下肢痛が主訴であった. 神経学的所見は, 馬尾症状は認めず, SLRやFNST, 運動, 知覚障害なども椎間板ヘルニアと同様の単一神経根障害を示し, 全例神経根ブロック療法によって一時的に症状が改善した. 発症から手術までの期間は, 2カ月~3カ月で比較的短期間であった. 単純X線像は全例において, 椎間板狭小化はほとんどなく, 明らかな不安定性は認めなかった.
ISSN:0037-1033