PRL産生下垂体腺腫男性例の特徴と治療上の問題点

プロラクチン(PRL)の特異的なradioimmunoassayが確立され9, 15), 広く測定されるようになって以来, それまで嫌色素性下垂体腺腫と呼ばれ, 腺腫よりのホルモン産生はないと考えられていた症例の中に, かなりの頻度で高PRL血症の存在する事実が明らかとなり27), さらに現在では, 下垂体腺腫に伴う高PRL血症の原因として次の2つの病態が知られている. その1つは腺腫よりPRLが直接産生分泌される, いわゆるPRL産生腫瘍であり, 他は腺腫自身はホルモンを産生しないが, 腺腫の鞍上進展による視床下部障害のためにprolactin inhibiting factor(PIF)の...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. 5; pp. 369 - 377
Main Authors 渡辺正男, 桑山明夫, 中根藤七, 高野橋正好, 高橋立夫, 蟹江規雄, 景山直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:プロラクチン(PRL)の特異的なradioimmunoassayが確立され9, 15), 広く測定されるようになって以来, それまで嫌色素性下垂体腺腫と呼ばれ, 腺腫よりのホルモン産生はないと考えられていた症例の中に, かなりの頻度で高PRL血症の存在する事実が明らかとなり27), さらに現在では, 下垂体腺腫に伴う高PRL血症の原因として次の2つの病態が知られている. その1つは腺腫よりPRLが直接産生分泌される, いわゆるPRL産生腫瘍であり, 他は腺腫自身はホルモンを産生しないが, 腺腫の鞍上進展による視床下部障害のためにprolactin inhibiting factor(PIF)の分泌不全が起こり, その結果前葉PRL細胞が抑制より解放され, PRL分泌が増加して高PRL血症をきたす群である. 一般に鞍上進展による高PRL血症では, 血清PRL値はせいぜい100~200ng/mlであると言われているが, 両者の鑑別は腺腫組織の酵素抗体法を行ってみても必ずしも容易ではない11, 39).
ISSN:0470-8105