衛生行政担当者からみた医療過疎地における耳鼻咽喉科診療

我々は, 耳鼻咽喉科医ではない総合医の地域の耳鼻咽喉科診療について調査を行い, 医療機関の機能分担と連携の必要性を認めた. 今回, 医療過疎地の耳鼻咽喉科診療に対する衛生行政担当者の認識と今後の対策について, アンケート調査を行った. 対象は全国の47都道府県の衛生行政所管部とし, 質問事項は地域医療の現状, 耳鼻咽喉科診療とへき地保健医療計画, 地域の耳鼻咽喉科診療の現状把握と病診連携, 今後の方針などとした. アンケートの回収は46都道府県で得られ, その結果, 約80%の県で医療過疎地が解消できない中で, 地域の耳鼻咽喉科診療は, いまだ充足していなかった. 約75%の県では総合医の充足...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 101; no. 1; pp. 9 - 13
Main Authors 石川浩太郎, 玉川雄也, 阿部弘一, 喜多村健, 五十嵐正紘, 曽根啓一, 溝呂木紀仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 1998
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ISSN0030-6622

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Summary:我々は, 耳鼻咽喉科医ではない総合医の地域の耳鼻咽喉科診療について調査を行い, 医療機関の機能分担と連携の必要性を認めた. 今回, 医療過疎地の耳鼻咽喉科診療に対する衛生行政担当者の認識と今後の対策について, アンケート調査を行った. 対象は全国の47都道府県の衛生行政所管部とし, 質問事項は地域医療の現状, 耳鼻咽喉科診療とへき地保健医療計画, 地域の耳鼻咽喉科診療の現状把握と病診連携, 今後の方針などとした. アンケートの回収は46都道府県で得られ, その結果, 約80%の県で医療過疎地が解消できない中で, 地域の耳鼻咽喉科診療は, いまだ充足していなかった. 約75%の県では総合医の充足の方が優先課題で, 耳鼻咽喉科診療は保健計画にさえ取り上げられず, 関心は低い. しかし, 高齢化が進む現在, 地域において耳鼻咽喉科領域の専門診療の果たすべき役割は増加するものと考えられ, 行政を含め, 総合的に地域医療を運営していくことが重要である.
ISSN:0030-6622