長期血液透析患者の肩痛に対する鏡視下debridementの治療成績

「はじめに」長期血液透析患者における肩痛は夜間痛や透析時痛が高度な場合が多く,特徴的である.今回我々はこのような苦痛をもつ症例に対し鏡視下debridementを行ったので,その鏡視所見,手術結果及び病理組織像について報告する.「対象」対象は17例21肩(男5例7肩,女12例15肩),平均年齢57.9歳(39歳から78歳),平均透析歴は16年(10年から21年),術後平均15カ月(3カ月から28カ月)で,肩痛発生は透析開始後平均12.4年(6年から17年)であった.術前評価は,単純X線,関節造影,超音波検査,MRIで行った.「鏡視下手術の適応」鏡視下手術の適応は,安静時痛,夜間痛が高度で日常生...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 1; pp. 24 - 29
Main Authors 城石達光, 緑川孝二, 柴田陽三, 江本玄, 浅山勲, 有田哲彦, 緒方公介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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Summary:「はじめに」長期血液透析患者における肩痛は夜間痛や透析時痛が高度な場合が多く,特徴的である.今回我々はこのような苦痛をもつ症例に対し鏡視下debridementを行ったので,その鏡視所見,手術結果及び病理組織像について報告する.「対象」対象は17例21肩(男5例7肩,女12例15肩),平均年齢57.9歳(39歳から78歳),平均透析歴は16年(10年から21年),術後平均15カ月(3カ月から28カ月)で,肩痛発生は透析開始後平均12.4年(6年から17年)であった.術前評価は,単純X線,関節造影,超音波検査,MRIで行った.「鏡視下手術の適応」鏡視下手術の適応は,安静時痛,夜間痛が高度で日常生活に支障をきたすもの,また透析時痛のため,透析に支障をきたすものとした.「鏡視下手術」鏡視下手術は全身麻酔下に患側上の完全側臥位で行った,手術においては,スポンジにて上肢を保護し,2kgの軽量の牽引をかけてシャント側にも対応できるようにした.鏡視下手技は,電動シェーバーやパンチなど用いて,関節内および滑液包内のdebridementを徹底的に行った.骨切除や靭帯切離などは行わなかった.後療法は特に施行せず,翌日より肩関節の運動を自由とした.入院経過としては術前前日に入院し,術前日と術翌日に透析を行い,術翌翌日退院することとした.5日間の入院期間である.
ISSN:0037-1033