不安定腰椎に対するPedicle Screw法とWire固定術の比較検討

「はじめに」不安定腰椎に対する整復固定術にはこれまで種々のinstrumentが開発されてきた. その中でもpedicle screw法(PS法)は望ましい解剖学的alignmentが再獲得され, 最小必要範囲の強固な固定が得られ, 早期離床が可能なことから, 近年広く用いられてきた. しかし, 腰椎の変性疾患に対する固定術において, 特に1椎間のみの固定には必ずしも強大な固定は必要なく, ある程度の固定力があれば腰椎運動は安定していると考えられる. 我々は以前より固定術を行う際に出来るだけ侵襲が少なく, 簡便でかつ適度な固定力を持つinstrumentとしてwireを用いた後方固定術(wir...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 1; pp. 70 - 75
Main Authors 井本浩樹, 永田見生, 有吉護, 石橋和順, 薗田恭輔, 西田俊春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」不安定腰椎に対する整復固定術にはこれまで種々のinstrumentが開発されてきた. その中でもpedicle screw法(PS法)は望ましい解剖学的alignmentが再獲得され, 最小必要範囲の強固な固定が得られ, 早期離床が可能なことから, 近年広く用いられてきた. しかし, 腰椎の変性疾患に対する固定術において, 特に1椎間のみの固定には必ずしも強大な固定は必要なく, ある程度の固定力があれば腰椎運動は安定していると考えられる. 我々は以前より固定術を行う際に出来るだけ侵襲が少なく, 簡便でかつ適度な固定力を持つinstrumentとしてwireを用いた後方固定術(wire法)を施行し, その結果を報告している2)3). 今回は1椎間の不安定腰椎に対してwire法とPS法のmatched groupによる術後経過の比較を行ったので報告する. 対象および方法 適応症例は, 腰椎のX線機能撮影を行い, 1)椎間板後方に異常な開大を認めるもの, 2)5%以上のすべりの変化が認められるもの, の条件の少なくとも一方を満たした1椎間の不安定腰椎とした. 症例は1992年以降, 当院においてPS法とwire固定術を交互に施行し, 術後6か月以上経過した不安定腰椎症44例である. PS法を行ったのは男性8例, 女性14例の計22例で平均年齢57.1歳, 平均経過観察期間は2年4か月であった.
ISSN:0037-1033