二皮弁型大腿皮弁による頭頸部領域の再建

前外側および前内側大腿皮弁は, 頭頸部領域の再建に有用な皮弁であるが, 外側大腿回旋動脈系とその皮膚穿通枝に解剖学的変異が多いことが欠点である. しかし, 多くの症例では大腿前面皮膚に皮膚穿通枝が複数存在し, 同側大腿より二皮弁の採取が可能である. 我々は, 1995年1月より2001年3月までに岡山済生会総合病院において, 頭頸部腫瘍の切除後に一血管茎によって栄養される二皮弁型大腿皮弁での再建を行った8例について検討した. 皮弁は, 皮膚穿通枝の解剖学的変異によって3型に分類された. 大腿前外側面に2本以上の皮膚穿通枝を認め, 一血管茎の前外側大腿皮弁2皮弁を採取できたI型が4例, 大腿前外...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 107; no. 6; pp. 645 - 652
Main Authors 中川文夫, 前田学, 宇野欽哉, 宮原孝和, 齊藤龍介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 2004
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ISSN0030-6622

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Summary:前外側および前内側大腿皮弁は, 頭頸部領域の再建に有用な皮弁であるが, 外側大腿回旋動脈系とその皮膚穿通枝に解剖学的変異が多いことが欠点である. しかし, 多くの症例では大腿前面皮膚に皮膚穿通枝が複数存在し, 同側大腿より二皮弁の採取が可能である. 我々は, 1995年1月より2001年3月までに岡山済生会総合病院において, 頭頸部腫瘍の切除後に一血管茎によって栄養される二皮弁型大腿皮弁での再建を行った8例について検討した. 皮弁は, 皮膚穿通枝の解剖学的変異によって3型に分類された. 大腿前外側面に2本以上の皮膚穿通枝を認め, 一血管茎の前外側大腿皮弁2皮弁を採取できたI型が4例, 大腿前外側面と内側面にそれぞれ1本以上の皮膚穿通枝を認め, 1血管茎で栄養される前外側大腿皮弁と前内側大腿皮弁を採取できたII型が2例, 2皮弁を別々に採取した後に血管吻合を行い1個の皮弁に再構築したIII型が2例であった. 8例中7例で皮弁は生着したが, 1例では感染から皮弁壊死となった. 二皮弁型大腿皮弁に血管柄付骨弁を連結することにより, 1組の移植床血管のみを栄養源とする合併移植が可能であった. また, 独立した長い血管柄を持つ二皮弁は3次元的に配置することが可能で, 血行の良い十分量の組織を確実に充填することにより, 機能的・整容的に優れた結果が得られるため, 本皮弁は, 頭頸部領域の広範囲で複雑な欠損の再建に有効と考えられた.
ISSN:0030-6622