経皮的内視鏡的胃瘻(PEG)造設術後1週間以上経過して脳室-腹腔シャント(V-Pシャント)の感染を生じた一例

「和文抄録」 経皮的内視鏡的胃瘻(percutaneous endoscopic gastrostomy, PEG)造設術は経口摂取の困難な患者に対し広く普及しつつある. しかし, その一方で, PEGに関連した偶発症に対する認識は, 十分とは言えない. 今回筆者らは, PEG造設後1週間以上経過して脳室-腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt, V-Pシャント)の感染を生じた1例を経験した. 症例は, 70歳代男性. 正常圧水頭症に対するV-Pシャント術施行の約半年後に, PEG造設のため紹介となった. 術前, 体表よりV-Pシャントチューブは確認することができず...

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Published in山口医学 Vol. 59; no. 2; pp. 79 - 84
Main Authors 竹本洋介, 谷岡ゆかり, 柳井秀雄, 祐徳浩紀, 坂口栄樹, 山下勝弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2010
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Summary:「和文抄録」 経皮的内視鏡的胃瘻(percutaneous endoscopic gastrostomy, PEG)造設術は経口摂取の困難な患者に対し広く普及しつつある. しかし, その一方で, PEGに関連した偶発症に対する認識は, 十分とは言えない. 今回筆者らは, PEG造設後1週間以上経過して脳室-腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt, V-Pシャント)の感染を生じた1例を経験した. 症例は, 70歳代男性. 正常圧水頭症に対するV-Pシャント術施行の約半年後に, PEG造設のため紹介となった. 術前, 体表よりV-Pシャントチューブは確認することができず, 腹部単純X線写真でも腹部でのチューブの確認は困難であった. 胃体中部前壁にPull法, 20Frチューブを用いてPEGを造設し, その後, PEGよりの栄養剤の投与は問題なく行われていた. しかし, 造設後第9日より発熱・嘔吐が出現した. 造設後第31日のGaシンチグラフィー・腹部骨盤部CT検査にて, シャントチューブにPEGチューブが近接し, 周囲に腹腔内膿瘍を形成していることが確認された. 第39日, X線透視下でシャントチューブを抜去し, 症状は改善した. PEGに関連して, 当院では21.0%(2005年から2007年までの3年間の105例中22例), 諸家の報告でも約10-20%の合併症が経験されている. 本例の経験より, PEG造設に際しては, 合併症のリスクを考慮して慎重に適応を選ぶとともに, 単純CT検査等による術前の腹腔内異物の検索を含めた適正な術中・術後の管理を行う必要が指摘された.
ISSN:0513-1731