経皮的心肺補助装置を用意した気管切開症例

「はじめに」経皮的心肺補助装置(PCPS:percutaneous cardiopulmonary support)は大腿動静脈からのカテーテル挿入により導入可能で, 装置も従来の開心術による人工心肺装置より小型であるため急性の循環呼吸不全に対する救命救急の手段として使用されている1, 2). 頭頸部領域でも気管の狭窄により気道確保が困難な症例に対する適応が近年報告されている3, 4). 今回我々はPCPSを用意して臨んだ気管切開症例を経験したので文献的検討を加えて報告する. 「症例」症例:60歳女性 主訴:呼吸困難 既往歴, 家族歴:特記事項は認められない. 現病歴:2010年10月初め頃よ...

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Published in喉頭 Vol. 24; no. 1; pp. 29 - 33
Main Authors 石田芳也, 執行寛, 原渕保明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.06.2012
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ISSN0915-6127

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Summary:「はじめに」経皮的心肺補助装置(PCPS:percutaneous cardiopulmonary support)は大腿動静脈からのカテーテル挿入により導入可能で, 装置も従来の開心術による人工心肺装置より小型であるため急性の循環呼吸不全に対する救命救急の手段として使用されている1, 2). 頭頸部領域でも気管の狭窄により気道確保が困難な症例に対する適応が近年報告されている3, 4). 今回我々はPCPSを用意して臨んだ気管切開症例を経験したので文献的検討を加えて報告する. 「症例」症例:60歳女性 主訴:呼吸困難 既往歴, 家族歴:特記事項は認められない. 現病歴:2010年10月初め頃より, 呼吸困難感が出現したため, 近所のクリニックを受診した. しかしながら, 気管支喘息と診断され, 投薬による経過観察を受けていた, 症状は改善されず, 10月25日になり呼吸苦が増悪したため, 当院の救急外来を受診した. 胸部レントゲンにて上縦隔の拡大と, 気管の狭窄を認め, 胸部CT(Computed tomography)にて進行期食道癌の気管浸潤による気道狭窄と診断された.
ISSN:0915-6127