大学病院における全身疾患を伴う内痔核患者に対する硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸(ALTA)硬化療法の長期効果と安全性の検討

【目的】大学病院など高度医療を担う病院では医師・入院ベッド不足が慢性化し,痔核診療には簡便ながら高リスク患者にも適用可能な治療法が求められていた.低侵襲・早期止血効果を特徴とするALTA療法を,出血素因(血液疾患,肝硬変,抗血栓療法)のある高リスク患者に適用し,長期成績と安全性を検証した.【方法】118例(Goligher III-IV 75例)中,出血素因29例,他の全身疾患10例を含む.原則入院,低位腰麻または局麻で施行し,術後2週と3ヵ月に出血・疼痛・脱出の改善と満足度(満5点)を評価した.【成績】投与量,在院日数と有害事象は,出血素因や全身疾患の有無で差がなかった.3ヵ月後症状消失率約...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 13 - 18
Main Authors 田中, 彰, 岡田, 和丈, 鈴木, 俊之, 貞廣, 荘太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2013
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.66.13

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Summary:【目的】大学病院など高度医療を担う病院では医師・入院ベッド不足が慢性化し,痔核診療には簡便ながら高リスク患者にも適用可能な治療法が求められていた.低侵襲・早期止血効果を特徴とするALTA療法を,出血素因(血液疾患,肝硬変,抗血栓療法)のある高リスク患者に適用し,長期成績と安全性を検証した.【方法】118例(Goligher III-IV 75例)中,出血素因29例,他の全身疾患10例を含む.原則入院,低位腰麻または局麻で施行し,術後2週と3ヵ月に出血・疼痛・脱出の改善と満足度(満5点)を評価した.【成績】投与量,在院日数と有害事象は,出血素因や全身疾患の有無で差がなかった.3ヵ月後症状消失率約90%,患者満足度4.7±0.7だった.再発率は11%(観察期間中央値20月)で,出血素因者に再出血(P=0.06),再脱出(P=0.03)が多かった.再ALTA療法後出血消失91%,脱出消失82%,満足度3.9±1.4だった.【結論】ALTA療法は高リスク患者でも安全で,再発例に対しても実施可能であった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.66.13