肥厚性瘢痕におけるマトリックス関連酵素,特にコラゲナーゼの遺伝子発現の解析

肥厚性瘢痕病変部の病理組織学的特徴は線維化であリ,真皮に過剰なコラーゲンの沈着を認める.本研究の目的は,ヒト肥厚性瘢痕由来真皮線維芽細胞におけるコラーゲン発現の増加およびその特異的分解酵素であるコラゲナーゼ発現の減少の有無を検討することである.著者は肥厚性瘢痕の中心部,辺縁部,病変外部より採取し初代培養した真皮線維芽細胞のα1(1)及びαIII)コラーゲン,コラゲナーゼ,TIMP(TissHeinhibitorofmetalloproteinase)のメッセンジャーRNA(mRNA)の発現量を正常皮膚由来線維芽細胞のそれを対照として比較検討した.α1(1),α1(III)コラーゲンmRNAの量...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 21; no. 2; pp. 89 - 98
Main Author 森康二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1995
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ISSN0386-5924

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Summary:肥厚性瘢痕病変部の病理組織学的特徴は線維化であリ,真皮に過剰なコラーゲンの沈着を認める.本研究の目的は,ヒト肥厚性瘢痕由来真皮線維芽細胞におけるコラーゲン発現の増加およびその特異的分解酵素であるコラゲナーゼ発現の減少の有無を検討することである.著者は肥厚性瘢痕の中心部,辺縁部,病変外部より採取し初代培養した真皮線維芽細胞のα1(1)及びαIII)コラーゲン,コラゲナーゼ,TIMP(TissHeinhibitorofmetalloproteinase)のメッセンジャーRNA(mRNA)の発現量を正常皮膚由来線維芽細胞のそれを対照として比較検討した.α1(1),α1(III)コラーゲンmRNAの量は病変の辺縁部,病変外部由来線維芽細胞で増加し,中心部では対照と差を認めなかった.一方コラゲナーゼmRNAの量は肥厚性瘢痕線維芽細胞では全体的に減少しており,その割合は中心部(対照の25%)>辺縁部(同43%)>病変外部(同84%)の順に著明であった.
ISSN:0386-5924