開腹術時の腹腔内検索-有所見率とその解析

開腹時の腹腔内検索は時間の増加と副損傷の危険性を考慮しても大変重要である. 我々は教室例1637例(男性1040例, 女性597例)の所見について解析を行ったので報告する. 手術の対象部位は胃, 十二指腸が最も多く736例(悪性疾患607, 良性疾患129), 次いで胆道系390例(悪性36, 良性354), 結腸, 直腸314例(悪性262, 良性52)の順であり, 3:2で悪性疾患が多かった. 術中に初めて発見されたものを所見ありとして集計すると全体では616例(37.6%)に副所見がみられ, 年齢別にも差はなく, 若年者といえども正確な検索が必要と言える. 付加手術を必要とした副病変は胆...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 14; no. 1; pp. 40 - 44
Main Authors 木元正利, 長野秀樹, 岩本末治, 牟礼勉, 笠井裕, 林秀宣, 今井博之, 清水裕英, 延藤浩, 瀬尾泰雄, 山本康久, 佐野開三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1988
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ISSN0386-5924

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Summary:開腹時の腹腔内検索は時間の増加と副損傷の危険性を考慮しても大変重要である. 我々は教室例1637例(男性1040例, 女性597例)の所見について解析を行ったので報告する. 手術の対象部位は胃, 十二指腸が最も多く736例(悪性疾患607, 良性疾患129), 次いで胆道系390例(悪性36, 良性354), 結腸, 直腸314例(悪性262, 良性52)の順であり, 3:2で悪性疾患が多かった. 術中に初めて発見されたものを所見ありとして集計すると全体では616例(37.6%)に副所見がみられ, 年齢別にも差はなく, 若年者といえども正確な検索が必要と言える. 付加手術を必要とした副病変は胆石症が多かったがほかに悪性疾患が多く含まれていること(大腸癌6, 肝癌3, 胆嚢癌1)は注目すべき事項と思われる. 約3人に1人は副所見を有しており, 腹腔内検索の重要性を示唆するものと言える.(昭和62年7月23日採用)はじめに 手術の回数を必要最小限にとどめねばならないことは当然のことであり, 外科医は開腹術という与えられた機会に腹腔内をくまなく検索し, 最大限の情報を得るとともに, 必要な処置を適宜行わねばならない.
ISSN:0386-5924