Dahl食塩感受性高血圧ラットを用いた慢性膵炎の成因と治療に関する研究

Dahl食塩感受性高血圧ラット(DS-S)に自然発症する慢性膵炎が降圧剤投与により抑制されるか否かを検討した. 5週齢雄性DS-SおよびDahl食塩抵抗性ラット(DS-R)に8%高食塩食の投与を開始し11週齢の実験終了まで投与を続けた無治療群(DS-S;n=20, DS-R;n=8)および同時に降圧剤を11週齢の実験終了まで投与するAngiotensin-Convertizing-Enzyme(ACE)阻害剤(Trandolapril)投与群(DS-S;n=20, DS-R;n=8)とCalcium(Ca)拮抗剤(Verapamil)投与群(DS-S;n=20, DS-R;n=8)の6群(DS...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 11 - 21
Main Author 久保添忠彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2002
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Summary:Dahl食塩感受性高血圧ラット(DS-S)に自然発症する慢性膵炎が降圧剤投与により抑制されるか否かを検討した. 5週齢雄性DS-SおよびDahl食塩抵抗性ラット(DS-R)に8%高食塩食の投与を開始し11週齢の実験終了まで投与を続けた無治療群(DS-S;n=20, DS-R;n=8)および同時に降圧剤を11週齢の実験終了まで投与するAngiotensin-Convertizing-Enzyme(ACE)阻害剤(Trandolapril)投与群(DS-S;n=20, DS-R;n=8)とCalcium(Ca)拮抗剤(Verapamil)投与群(DS-S;n=20, DS-R;n=8)の6群(DS-S;60匹, DS-R;24匹の計84匹)をそれぞれ作製し経時的に体重, 血圧, 膵血流量測定, 膵病理組織学的検索およびアポトーシスの検索を行った. 結果は11週齢のDS-Sにおいて無治療群では著明な高血圧を認め, 病理組織学的に膵内血管の内膜肥厚による内腔 狭小化と著明な膵実質の線維化と炎症性変化が観察された. しかし同週齢のACE阻害剤投与群では高血圧は発症せず膵実質病変の発症が抑制された. さらに同週齢のCa拮抗剤投与群でも高血圧は発症せず膵実質病変は観察されなかった.
ISSN:0386-5924