飢餓により末梢神経障害を合併し, 頭蓋内圧亢進を呈した静脈洞血栓症の1例
症例は17歳男性. 飢餓を強制され, 高度の栄養不良状態となり, 頭痛, 複視, 上下肢の筋力低下, 下腿以下の感覚鈍麻などの症状が出現した. 検査でうっ血乳頭, 髄液圧の亢進, 直静脈洞の著明な狭小化, 腓腹神経の軸索変性などの所見を認めた. 原因として栄養不良状態に脱水状態が加わり, 静脈洞血栓症, 末梢神経障害を呈したと推察した. 治療として頭蓋内圧亢進症状に対しては副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)が有効であった. (平成4年1月13日採用) はじめに 脳静脈系の血栓症の原因は感染症, 脳腫瘍, 血液疾患, 外傷など多岐にわたる1)が, 今回われわれは飢餓状態が原因で, 末梢神経障害を...
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Published in | 川崎医学会誌 Vol. 18; no. 1; pp. 37 - 40 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
1992
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Summary: | 症例は17歳男性. 飢餓を強制され, 高度の栄養不良状態となり, 頭痛, 複視, 上下肢の筋力低下, 下腿以下の感覚鈍麻などの症状が出現した. 検査でうっ血乳頭, 髄液圧の亢進, 直静脈洞の著明な狭小化, 腓腹神経の軸索変性などの所見を認めた. 原因として栄養不良状態に脱水状態が加わり, 静脈洞血栓症, 末梢神経障害を呈したと推察した. 治療として頭蓋内圧亢進症状に対しては副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)が有効であった. (平成4年1月13日採用) はじめに 脳静脈系の血栓症の原因は感染症, 脳腫瘍, 血液疾患, 外傷など多岐にわたる1)が, 今回われわれは飢餓状態が原因で, 末梢神経障害を併発し, 頭蓋内圧亢進を呈した静脈洞血栓症を経験したので報告する. 症例 症例:17歳, 男性 主訴:頭痛, 複視, 両上下肢の運動障害 既往歴, 家族歴:特記事項なし 現病歴:1989年2月, 交通事故が原因で軟禁され, 飢餓状態を強いられていた. 8月上旬, 頭痛, 上下肢の運動障害, 下肢の感覚障害が出現し, 立ち上がれない状態となった. |
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ISSN: | 0386-5924 |