放射線療法が奏功した切除不能の単発性Castleman病の一例

症例は70歳代女性.平成××年4月11日嘔吐のため近医に入院,保存的に治療し症状は軽快した.同時に施行された腹部超音波検査で下腹部に腫瘤を認めたため,当科紹介入院となった.当院で施行した腹部超音波検査では,骨盤腔に8×4cmの内部が均一な低エコー腫瘍を認め,また内部を上腸間膜動脈の本幹およびその分岐を貫通するsandwich signを認め,悪性リンパ腫を疑った.SIL-2R 618U/ml,TK 6.1U/lは軽度高値を示し,血清アミロイドA蛋白はSAA 517μg/mlと高値(正常範囲<8.0μg/ml)を示した.また胸腹部造影CT,MRI,67Gaシンチグラフィーでは腹部腫瘤以外異...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in川崎医学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 43 - 48
Main Authors 筒井英明, 藤田穣, 垂水研一, 楠裕明, 本多啓介, 畠二郎, 鎌田智有, 和田秀穂, 定平吉都, 浅海昇, 春間賢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2007
Online AccessGet full text
ISSN0386-5924

Cover

More Information
Summary:症例は70歳代女性.平成××年4月11日嘔吐のため近医に入院,保存的に治療し症状は軽快した.同時に施行された腹部超音波検査で下腹部に腫瘤を認めたため,当科紹介入院となった.当院で施行した腹部超音波検査では,骨盤腔に8×4cmの内部が均一な低エコー腫瘍を認め,また内部を上腸間膜動脈の本幹およびその分岐を貫通するsandwich signを認め,悪性リンパ腫を疑った.SIL-2R 618U/ml,TK 6.1U/lは軽度高値を示し,血清アミロイドA蛋白はSAA 517μg/mlと高値(正常範囲<8.0μg/ml)を示した.また胸腹部造影CT,MRI,67Gaシンチグラフィーでは腹部腫瘤以外異常所見を認めなかった.6月27日病理組織診断目的のため腹腔鏡補助下に生検を施行した.病理組織学的には,硝子化を背景に,随所でリンパ濾胞も目立ち,濾胞間の増生,一部のリンパ濾胞では,濾胞内に血管が入り込むような所見が認められた.以上から,hyaline vascular typeのCastleman病と診断した.外科的切除不能のため放射線治療を施行し,著明な縮小効果が得られた.
ISSN:0386-5924