覚醒剤常用者に発生した脳膿瘍の1例

今日脳膿瘍の原因として, 先天性心疾患および耳鼻科領域の感染症が広く知られている2, 7, 11, 12). しかしまれではあるが, 覚醒剤の頻回にわたる不潔な静脈注射により脳膿瘍を形成するものがある1, 6, 9, 10). 文献的にはKarandanisら6), Richardsonら9), Amine1)の報告を認めるが, 本邦では見当たらない. 我々は, ほかに原因と思われる疾患のない覚醒剤常用者に発生した脳膿瘍の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例 <患者>37才, 男性 主訴:意識障害と左片麻痺 既往歴:4年前より覚醒剤(種類は不明)を連日静脈注...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. 4; pp. 319 - 322
Main Authors 柴橋博之, 保坂泰昭, 魚住顕正, 山浦晶, 牧野博安
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:今日脳膿瘍の原因として, 先天性心疾患および耳鼻科領域の感染症が広く知られている2, 7, 11, 12). しかしまれではあるが, 覚醒剤の頻回にわたる不潔な静脈注射により脳膿瘍を形成するものがある1, 6, 9, 10). 文献的にはKarandanisら6), Richardsonら9), Amine1)の報告を認めるが, 本邦では見当たらない. 我々は, ほかに原因と思われる疾患のない覚醒剤常用者に発生した脳膿瘍の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例 <患者>37才, 男性 主訴:意識障害と左片麻痺 既往歴:4年前より覚醒剤(種類は不明)を連日静脈注射により使用している. 使用法は, やかんの注ぎ口より立ち昇る蒸気をその蓋で受け止め, その水滴を集めて覚醒剤を溶解し, 注射器に吸い, 皮膚表面の消毒なしに静脈注射していたものである. ほかに特記すべきことはない. 家族歴:特記すべきことなし
ISSN:0470-8105