老人の骨頭軟骨剥脱例

「はじめに」特発性大腿骨頭壊死症は壮年期に好発する. 高齢者に発症した特発性大腿骨頭壊死症はX線像上, 早期に関節裂隙が消失するなど壮年期とは異なった特徴を有する. また高齢者に好発する急速破壊型股関節症の骨頭の病理所見で骨壊死を認めるものと認めないものがある1),2). ここでは壮年期の特発性大腿骨頭壊死症に特異的な肉眼所見である関節軟骨の剥脱という観点から, 高齢者の股関節疾患の病態を検討した.「対象および方法」1999年1月から2000年7月に施行した人工股関節置換術の術中に, 骨頭関節軟骨が剥脱していた10股関節を対象とした. 手術時年齢は60歳から87歳, 平均72.5歳で, 全例女...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 3; pp. 670 - 673
Main Authors 日高大次郎, 樋口富士男, 後藤昌史, 鈴木律, 多田隈元, 山中健輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2001
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」特発性大腿骨頭壊死症は壮年期に好発する. 高齢者に発症した特発性大腿骨頭壊死症はX線像上, 早期に関節裂隙が消失するなど壮年期とは異なった特徴を有する. また高齢者に好発する急速破壊型股関節症の骨頭の病理所見で骨壊死を認めるものと認めないものがある1),2). ここでは壮年期の特発性大腿骨頭壊死症に特異的な肉眼所見である関節軟骨の剥脱という観点から, 高齢者の股関節疾患の病態を検討した.「対象および方法」1999年1月から2000年7月に施行した人工股関節置換術の術中に, 骨頭関節軟骨が剥脱していた10股関節を対象とした. 手術時年齢は60歳から87歳, 平均72.5歳で, 全例女性であった. 初診時のX線診断は, 特発性大腿骨頭壊死症が9股, 変形性股関節症が1股でそのうち急速破壊型股関節症の経過をたどったのは2股で, このうち8股の, 病理組織学的検討を行った. 「結果」初診時のX線検査で, 厚生省研究班の診断基準の骨頭圧潰は全10股に見られ, 帯状硬化の形成は7股に見られたが, その条件としての関節裂隙の状態については, 温存が5股, 狭小化が4股, 消失が1股となり, 条件を満たすものは5股のみであった.
ISSN:0037-1033