Granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)産生膵腺扁平上皮癌の1剖検例

症例は78歳女性. 高熱と白血球の異常高値を認め, 画像診断にて膵尾部の腫瘤と多発性肝腫瘤を認めた. 肝膿瘍を疑い肝腫瘤を穿刺するも液性成分は認めず, 生検にて腺扁平上皮癌を認めた. 膵腺扁平上皮癌, 肝転移の疑いで, 平成18年10月中旬当科転院となった. 当科転院後も高熱と白血球増多が持続していたためG-CSF産生腫瘍が疑われたが, 感染性疾患の併存をも疑われ, 化学療法を施行できなかった. その後は病状の進行のため入院後41病日に永眠された. 病理解剖の結果, 膵尾部原発の腺扁平上皮癌, 多発肝転移と診断された. 経過中の血液検査にて血漿中のG-CSFは高値を示し, さらに免疫染色にて主...

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Published in膵臓 Vol. 23; no. 4; pp. 494 - 500
Main Authors 赤池英憲, 板倉淳, 大澤俊也, 藤井秀樹, 中澤匡男, 村田晋一, 加藤良平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2008
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ISSN0913-0071

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Summary:症例は78歳女性. 高熱と白血球の異常高値を認め, 画像診断にて膵尾部の腫瘤と多発性肝腫瘤を認めた. 肝膿瘍を疑い肝腫瘤を穿刺するも液性成分は認めず, 生検にて腺扁平上皮癌を認めた. 膵腺扁平上皮癌, 肝転移の疑いで, 平成18年10月中旬当科転院となった. 当科転院後も高熱と白血球増多が持続していたためG-CSF産生腫瘍が疑われたが, 感染性疾患の併存をも疑われ, 化学療法を施行できなかった. その後は病状の進行のため入院後41病日に永眠された. 病理解剖の結果, 膵尾部原発の腺扁平上皮癌, 多発肝転移と診断された. 経過中の血液検査にて血漿中のG-CSFは高値を示し, さらに免疫染色にて主病変はG-CSF陽性であり, G-CSF産生膵腺扁平上皮癌と診断された. 「はじめに」 Granulocyte-colony stimulating factor(以下, G-CSF)産生腫瘍は, 血清G-CSF高値を呈しその結果白血球の異常高値を来たす腫瘍である.
ISSN:0913-0071