水頭症・脳梗塞・くも膜下出血を来し剖検にて診断された血管炎を伴うアスペルギルス髄膜脳炎の1例
「要旨」:症例は80歳, 男性. 副鼻腔炎にて加療歴あり. 2007年1月より意欲低下・頭痛・易疲労性あり. 4月より呂律不全・歩行時のふらつき・見当識障害が徐々に進行. 4月14日右片麻痺を発症し, 左内包後脚のラクナ梗塞にて入院. 入院時水頭症の併存を指摘. 入院後, 発熱・意識レベルの低下を繰り返し, 精査にて髄膜脳炎・血管炎に伴う水頭症・脳梗塞・SIADHと考えられた. その後, 再梗塞を来し最終的にくも膜下出血にて5月12日永眠された. 剖検所見にてアスペルギルスによる髄膜炎・血管炎に伴う脳梗塞・くも膜下出血と診断された. アスペルギルス髄膜脳炎は稀にしか見られず, 病理所見を得られ...
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Published in | 脳卒中 Vol. 32; no. 1; pp. 74 - 79 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳卒中学会
2010
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ISSN | 0912-0726 |
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Summary: | 「要旨」:症例は80歳, 男性. 副鼻腔炎にて加療歴あり. 2007年1月より意欲低下・頭痛・易疲労性あり. 4月より呂律不全・歩行時のふらつき・見当識障害が徐々に進行. 4月14日右片麻痺を発症し, 左内包後脚のラクナ梗塞にて入院. 入院時水頭症の併存を指摘. 入院後, 発熱・意識レベルの低下を繰り返し, 精査にて髄膜脳炎・血管炎に伴う水頭症・脳梗塞・SIADHと考えられた. その後, 再梗塞を来し最終的にくも膜下出血にて5月12日永眠された. 剖検所見にてアスペルギルスによる髄膜炎・血管炎に伴う脳梗塞・くも膜下出血と診断された. アスペルギルス髄膜脳炎は稀にしか見られず, 病理所見を得られた症例は数少ない. 本例のように基礎疾患が明らかでなく, 脳梗塞発症後に急速な経過をとる症例は臨床的にも稀であり, ここに症例報告する. 「はじめに」真菌性中枢神経系感染症の原因菌としては, クリプトコッカス属が最も多く, カンジダ属がこれに次ぎ, アスペルギルスは4~6%を占めるに過ぎず, その病理所見の記載は少ない. |
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ISSN: | 0912-0726 |