CTスキャンによる播種性血管内凝固症候群の頭蓋内病変の検討

播種性血管内凝固症候群(以下DIC)は, 重症感染症, 各種ショック, 血液疾患, 悪性腫瘍, 重症熱傷など種々の基礎疾患を背景に全身性に微小血栓を生じる一方で, 血小板, フィブリノーゲン減少のために出血傾向を呈し, 最終的には多臓器不全を惹起する疾患で, 予後はきわめて不良とされている3, 4). 今日, 各科における各臓器のsupportive therapyの発達により, 重篤な疾患の最終段階としてのDICに遭遇する機会が増加している. 今回我々は, 最近当施設にて経験したDIC患者のなかで頭部CTスキャンを施行しえた6例について検討を加え, いずれもmassiveな出血, 血腫が認め...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 11; pp. 870 - 876
Main Authors 横田裕行, 小林士郎, 中沢省三, 矢埜正実, 山本保博, 大塚敏文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1986
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ISSN0470-8105

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Summary:播種性血管内凝固症候群(以下DIC)は, 重症感染症, 各種ショック, 血液疾患, 悪性腫瘍, 重症熱傷など種々の基礎疾患を背景に全身性に微小血栓を生じる一方で, 血小板, フィブリノーゲン減少のために出血傾向を呈し, 最終的には多臓器不全を惹起する疾患で, 予後はきわめて不良とされている3, 4). 今日, 各科における各臓器のsupportive therapyの発達により, 重篤な疾患の最終段階としてのDICに遭遇する機会が増加している. 今回我々は, 最近当施設にて経験したDIC患者のなかで頭部CTスキャンを施行しえた6例について検討を加え, いずれもmassiveな出血, 血腫が認められたので, 若干の知見を加え報告する. 症例 症例は, 最近2年間に当施設にて入院加療し, DICまたはDICの疑いが強いと診断された男性5例, 女性1例である. DICの診断は, 厚生省研究班試案に基づいて合計点数6点以上の症例とした. <症例1>44才, 男性 主訴:意識障害, 右片麻痺 既往歴:高血圧症 現病歴および入院後経過:1982年1月11日より右手首のしびれ感を自覚していたが, 放置していた.
ISSN:0470-8105