脳血管透過性に対する高血圧および外減圧術の影響

中枢神経の各種疾患にみられる脳浮腫の病態については, いまだ解決されねばならない多くの問題を含んでいる. 臨床的に遭遇する脳浮腫の病態はさまざまで, Klatzo14)らが主に形態学的所見から分類したvasogenic edemaとcytotoxic edemaとに簡単に大別できるとはかぎらない. 従来より実験的脳浮腫のモデルとして凍結脳損傷, 脳虚血などが使用されているが, そこで発生する脳浮腫にしても, なんらかの形で上記二者の脳浮腫の混合をみるものである. 特に臨床面からすれば, さまざまな機序で成立した脳浮腫を, 単純化した二つのカテゴリーに区分して論ずることには大きな問題がある. 本...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. 5; pp. 325 - 335
Main Author 小池順平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:中枢神経の各種疾患にみられる脳浮腫の病態については, いまだ解決されねばならない多くの問題を含んでいる. 臨床的に遭遇する脳浮腫の病態はさまざまで, Klatzo14)らが主に形態学的所見から分類したvasogenic edemaとcytotoxic edemaとに簡単に大別できるとはかぎらない. 従来より実験的脳浮腫のモデルとして凍結脳損傷, 脳虚血などが使用されているが, そこで発生する脳浮腫にしても, なんらかの形で上記二者の脳浮腫の混合をみるものである. 特に臨床面からすれば, さまざまな機序で成立した脳浮腫を, 単純化した二つのカテゴリーに区分して論ずることには大きな問題がある. 本研究は, 脳浮腫の成立に深くかかわると思われるもう一つの要因を取り上げ, その分析を試みるものである. 頭蓋内の動脈圧, 脳組織圧の変化により生ずる静水力学的環境因子の変動が, 脳血管の透過性の変化, 脳浮腫の発生ないしはその進展に大きな役割を果たすことはよく知られている15, 16, 24, 27).
ISSN:0470-8105