アルカプトン尿症に伴う肩関節症の1例

はじめに 遺伝性代謝疾患であるアルカプトン尿症では,その関節症状として関節軟骨に黒褐色の色素沈着を伴う関節症性変化を来たすことが報告されている.脊椎や膝関節・股関節についての報告は散見されるが,肩関節症の報告は非常に稀である.今回,肩関節と膝関節に関節症変化を来たし,鏡視下手術を行った症例を経験したので肩関節を中心に報告する. 症例 患者:48歳,男性 主訴:左肩関節痛・左膝関節痛 現病歴:35歳時アルカプトン尿症を指摘された.1999年頃より次第に肩関節運動時痛と安静時痛を自覚するようになり,同年7月より左膝痛も出現し,同年7月当科初診した.既往歴・家族歴:親族に尿の黒変の自覚はないとのこと...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 51; no. 2; pp. 450 - 458
Main Authors 熊野貴史, 緑川孝二, 江本 玄, 原 道也, 張 敬範, 柴田陽三, 内藤正俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2002
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ISSN0037-1033

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Summary:はじめに 遺伝性代謝疾患であるアルカプトン尿症では,その関節症状として関節軟骨に黒褐色の色素沈着を伴う関節症性変化を来たすことが報告されている.脊椎や膝関節・股関節についての報告は散見されるが,肩関節症の報告は非常に稀である.今回,肩関節と膝関節に関節症変化を来たし,鏡視下手術を行った症例を経験したので肩関節を中心に報告する. 症例 患者:48歳,男性 主訴:左肩関節痛・左膝関節痛 現病歴:35歳時アルカプトン尿症を指摘された.1999年頃より次第に肩関節運動時痛と安静時痛を自覚するようになり,同年7月より左膝痛も出現し,同年7月当科初診した.既往歴・家族歴:親族に尿の黒変の自覚はないとのことである,入院時現症:<左肩関節>可動域は屈曲110度,外転85度,外旋10度,内旋啓部であった.筋力正常で不安定性はないが,インピンジメントテスト陽性であった.JOAスコアは51点であった.<左膝関節>腫脹と膝蓋跳動を認めた.可動域は屈曲130度,伸展-10度であった.Full squat不可だが,関節不安定性なく,半月板テストも陰性であった.
ISSN:0037-1033